- その4 アブラ、強食湯経由で津軽入りは一番湯をば -



さすがの風格たる岩木山。高曇りだったのが残念でしたが。

(2024年3月27-31日 その4)

というわけで津軽方面へと北上するわけですが、ナビによると(グーグルでも)「高速のICからは東北道に戻った方が早いよ」と指南されました。うーん、でも帰りはいずれにせよ東北道経由なのであえて秋田道を選択。いずれにせよ有料道路経由ですが、退職して年金生活に入ったらこんな高速大移動はせず下道&移動距離を短くすることになるのでしょうか?退職まで片手の指で数えられるようになりつい考えちゃいます。ま、まだ時間はあるしその時はその時か?(笑)。

さて湯川温泉(県境の岩手県側)から直近のICは湯田ICです。しかしここまで来たら、やっぱり巣郷の温泉にも入っておきたいという湯欲がわきまして(前夜に思いついた)、いったん湯田IC入口を通過して県境の真上にある巣郷に立ち寄ることにしました。なーに往復でも10kmくらいしかありませんし(かえって「さっき朝食後のお風呂に入ったばかり」ということのほうが問題かと)。

で、前夜のうちに入浴先の目星は付けておりました。それはこちらの、





お風呂もさることながら、大女将のお人柄の良さを語るコメントもあり、それなら行ってみようと決めておいたわけです。

なかなか立派な門構えというか、両上画像を見てもらえるとわかりますが、自然木をふんだんに使用した「正門」は車寄せよりも外側にあり、いわゆる公式の(儀礼的な)門ですね。平安京でいえば都城境の羅城門とか内裏への承明門という感じでしょうか。

で、中に入って入浴を乞うと「女湯が清掃中で男湯に2人一緒なら。でもいま女性が1人入っているので待ってもらえれば」ということでした。もちろん問題はなく待たせていただくことにしました。巣郷温泉各施設の日帰り入浴開始時間は早めなのですが、われわれの到着は9:20くらいだったかな。

大女将と女将とは何やら書類の整理中というか、大女将のいろいろに必要な書類探しという感じでしたが無事見つかったようで何よりです。その間にも大女将はいろいろ話しかけてくれたようで(自分は途中中座しましたが)、なるほどそういうお人柄なのだろうなと。

なおわれわれのあとに男性二人組が「お風呂セットを手にして入る気満々」でやってきましたが、「(上記の理由により)3組目になっちゃうねぇ」というお言葉でお帰りになりました。ま、地元の方っぽいのでほかの湯へ行ったのだと思われます。

と、待つこと10分ほどで先客さんが上がってきました。予想通り地元の方で、われわれが湯を上がってきてもまだ大女将&女将と話しておられましたっけ。ではでは、湯へ!




(調べていたので知っていましたが)

そしてその浴室内には「あっさり系、されどまごう事なき巣郷の湯たらしめるアブラ臭」を感知できました。ただしあっさり系でしてあまり湯上がり後に気になるほどではないかなと。





湯温は測りませんでしたが真ん中あたりで42度あるかないかという感じでした。ただし!








(浴槽に入るのもこの辺りがエントランスです)



なおこの奥には「深浴槽」もあります。こちらはかなり深く、またメイン浴槽からのオーバーフローからの湯供給なのかかなりぬるめの案配でした。もしかしたらリハビリ用にしつらえられたのかも知れません(それにしては中間部の手すりがないような気もしますが)。





湯川の湯が硫酸塩泉由来のきっちり湯なのに対し、こちらの湯は単純泉+硫黄(ほぼ感知せず)&アブラ臭ということでじっくりじわじわの湯です。アブラの関係もあり保温保湿系についてはこちらが上かも知れません。湯上がり後しばらくは外でクールダウンしました。



とはいえ外はまだまだ雪景色でしたが。


ただ、右上画像のようにしっかり雪が溶けて流れ出している場所もありました。左右の土手?も雪が溶けており、これは未利用の源泉湧出なのかな?



さて湯田ICまで戻りますが、直近にある「でめ金食堂」は聞いていた通り閉館中でした。ただ駐車場は完全に除雪されていて小型の重機もありましたから維持管理はきちんとなされているようです。こちらには1度しか入浴したこともなかったし、復活してくれるといいなぁ(期待を込めて)。ご家族が体調不良という話も云々。

さて湯田ICからは一気に北上します。



横手JCTを直進です。湯沢市界隈のキャンプ場にはこれまで20年ほどお世話になりまして(途中何年か別エリアへ)、2023GWもとことん山キャンプ場コテージに泊まったりもしておりました。でも2024GWは岩手側のコテージかな。

鳥海山はさすが日本海側の孤峰ということもあり裾野のほうまで真っ白くなっていました。でもこの時期ならこの平地すら雪が残っていて不思議ではないはずで、やはり2024春の雪の少なさを感じます。春の雪代水が少ないと農業にも影響が出そうで心配になります。



さて秋田道で秋田市をパスし、八郎潟をもパスした先の琴丘森岳ICで高速を下りました。目指すは‥森岳温泉(初訪)です。どこの施設にしようかと思っていたのですが「唯一のかけ流し」と公式サイトに記載のあった「森岳温泉ホテル」へ。やっぱりねぇ。



しかし到着してみると、駐車場はほぼ満杯の盛況でした。「うわぁ、こんなに人気があるのか(年度末平日の昼前なのに!)」と、ほぼ諦め覚悟で脱衣場へ進んでいくと‥



実は浴室へ向かう途中、広間の前に思い切りたくさんのスリッパが並んでいたのを目にしました。そうか、駐車場の混雑は「年度末の会合」に参加している方々の車だったのか!







なお塩素臭はありませんが「塩」はかなーり濃いですよ(笑)。塩化物イオンだけで13,590mg/kg、成分総計は22,500mg/kgもありますから、夏はなかなかきつい湯上がりになりそうです(苦笑)。





なお分析表は固定掲示(平成18年1月分析)よりも、あとから貼りつけた掲示(平成27年8月)のほうが源泉温度が上がっていました(58.6が-59.3へ)。近年各地で源泉温度の低下や湯量の減少が問題になっていますが、森岳温泉はそのあたりは当面大丈夫‥ん?別要因もあるのかも?(下で述べます)。

なお脱衣場には「撮影禁止」の文字こそありませんでしたが、いっぽうで「マナー違反はやめましょうね♡」(原文ママ)の掲示はありました。今回はほかにお客さんがなかったので上画像を撮影しましたが‥こちらにおけるマナー違反の例、そりゃ駄目でしょ。



さて湯上がりにお昼ごはんです。ここ森岳温泉エリアで食べておかないとランチ難民になりそうだったのでまずは調べてみました。このホテルのレストランでもランチ営業はしていたのですが、焼肉(自分で焼く系)がメインだったのでとりあえずパス(結果的にその選択が吉だったか否かは微妙)、ちょっと調べて「寿司」カテゴリーに属するお店に行くことにしました。

ただ、ほんのちょっとの移動距離ではありましたが、大規模系のホテルが2軒廃業しているのを目にしましたし、いまやその周辺のスナックなども夜になっていったいどれほど灯りが点くことやら。と、ここでふと。



と考えた次第です。そうだとすればなかなか難しい話で、いずれにせよ「森岳温泉ホテル」にはとにかく頑張ってほしいところであります。

さて検索した「寿司」カテゴリーのお店に行ってみましょう。





おそらくは、お寿司メインで始めたお店が、地元住民のリクエストに応える形でお寿司以外のメニューを充実させていった結果「町の定食屋さん」的な立ち位置での営業スタイルへと変貌していったのではないでしょうか?

ちょうどお昼時ということもあって店内はそこそこ混んでいました。自分は寿司定食、おしんこどんはサイコロステーキ定食を注文。お味は‥まぁ定食ですからね、寿司定食はそこそこでしたが、サイコロのほうは「お肉が固め」だったそうです。



なぜか寿司定食の画像がありませんでした。撮ったはずなのに?

食事後は内陸部をショートカットする県道経由で日本海縦貫国道であるR7に合流し、大館方面へと向かいます。途中、こちらの道の駅に立ち寄りました。



施設には外装にも内部にもふんだんに木材が使用されており、おそらくは場所柄「秋田杉」なのでしょう。




館内の歴史・民俗資料コーナーには、足下に秋田杉の土埋木が展示されておりました。そういえばその昔、屋久島で屋久杉の土埋木展示を見た記憶がうっすらと。

この日も気温は高くソフトを食べるにもいい感じで、食べ終わったら出発です。実はこの時、2024/3/31(この数日後)を以て閉館となる長瀞温泉に立ち寄るべきかパスするか心の葛藤にさいなまれていたわけですが、どうしようかと悩んだあげく‥



「あと数日で閉館なのだから、平日とはいえかなり混んでいるんじゃないか」と考えたのがその理由ですが、この温泉の閉館を知ったのがこの旅行をスタートさせた後だったので、そもそも深い思い入れがなかったというのもあります。

なお、このことをツイッターXにポストしたところ、現地在住のフォロワーさんからコメントをいただきました。それによると‥



とのことでした。あっちゃー、やっぱり寄っておけば良かったかなぁと思うも後の祭りとはこのことです。「温泉は逃げる」の好例でありました。

さて大館市街を秋田道無料区間でパスしたあと、R7をひた走り矢立峠を越えていきます。温泉宿や地域の共同湯は、最初は立地的に不便な場所や人口の少ない場所からなくなっていきましたが(このあたりでいけば津軽湯の沢温泉や久吉たけのこ温泉など。日景や古遠部は何とか乗り切りましたが)、今や市街地からそう遠くもない場所の共同湯、上に書いた長瀞温泉もそうでしょうし、この界隈だと婆娑羅温泉もいつの間にかなくなってしまいましたし、碇ヶ関温泉郷などはもう温泉宿もありませんよね(そう考えると大鰐温泉はよく頑張っていると思います)。

R7の道路沿いにあった「あめりかや旅館」も、もうどの建物だったのか、それとも更地になってしまったのか、見つけることはできませんでした(訪問ページはこちら)。

「温泉は逃げる」。上でも書いたこの言葉は新潟県小千谷市にかつて存在した「真人温泉えこじの湯」のご主人(故人)がおっしゃっていた言葉です。もっともその時の意味は「温泉は出し続けておかないと、湯脈が切れて出なくなる」というものでしたが(その時のページはこちら)、今では「湯脈どころか施設そのものがなくなって入れなくなる」、その加速する流れと温泉ファン訪問とのいたちごっことなっていというわけです。いや、加速度が付きすぎていて自分はもう諦めていますが。

というわけで弘前市街地を南から回り込んで岩木山方面へと抜けるアップルロードを進みます。お山に近づくにつれてアップダウンが増すことから‥




(とはいえ、空が高曇りなのでイマイチ映えてない)。



でも、マシュマロっぽい頂上部はいい感じだし、裾野の広がりもよいですねぇ。やはり名山ですよ岩木山。津軽富士とかじゃなくて岩木山は岩木山なのだと思います。

いっぽうで道路にはすっかり雪なしで、ああ、今シーズンもスタッドレスタイヤはほとんど活躍の場がありませんでしたね(わずかに年末とか、このあと無理矢理とか)。もったいないと思う方もいるかと思いますが今のところは安心料だと思っていますのでまぁいいや。

さてこのまま進めば今宵のお宿なのですが、どうもそのまま行ってしまうのもナニだし‥というわけで三本柳温泉と悩みつつも結局はこちらへ。





暖簾が掛けられていることと駐車場に車がいない(一番奥の1台はお店の関係者車両)ことを確認して心の中で快哉を叫びました。実は前回の初訪問時も先客さんなしだったんですが(この時です)。「こんにちわぁ」とお声がけをすると女性が出てきて下さり、入浴料300円をお支払いした上で浴室へ。





と、ここまでタイプしてきたところで念のためネット上の情報を確認してみると、普段は11:00から営業しているようですが、訪問日だったこの日の木曜日は16:00からの営業だったようなのです。で、上画像のプロパティを確認してみると‥


(知らなかったとはいえすみませんでした。)

しかし当時はそれとて知らず(つまりは一番湯だった!)貸し切り状態での入浴を喜んでいたわけでした。ま、いずれにせよ有り難いタイミングで、さすがに1時間前に来ていたら入れてはもらえなかったことでしょうし。



湯には小さな茶系の湯花が散り舞っています。成分分析ではナトリウム・マグネシウム-炭酸水素塩・塩化物温泉ということですがこの湯花はどういう成分なのでしょうか(詳しくない)。ただ、嶽温泉の硫黄系とは当然湯脈も一線を画していますし、また湯段の湯ともまた違う感じです。キシ感のある湯ですがカルシウム分はメイン成分の表示にないのですよね。まぁ「百沢系」と分類してしまえばそれまでなのですが。

こちら旬楽のお湯はお湯は浴槽内温度調節のため本来の湯口からL字パイプで浴槽内に投入されているのですが、すみません一時的にいじくりました(撮影後すぐ戻しましたのでお許しを)。





さてそんなわけで、この先数kmにある今宵のお宿へと向かいます。

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