- その5 羽黒温泉を起点にちょこちょこと津軽めぐり -



羽黒温泉。僅かに残された温泉名なのですが。

(2024年3月27-31日 その5)

さてそんなわけでほんの数kmでお宿到着なのですが、その前に嶽温泉の自販機でお茶とアクエリアスを購入。実はこの2本は完全にTakemaのお泊まり時のデフォルトです。お茶は焼酎割りに、そしてアクエリはもちろん「酔い覚めの水飲みたさに酒を飲み」というためであります。ま、水にすることもありますが。それにしても嶽温泉の宿も減りつつありますね。「山のホテル」も2023に廃業となりましたし、温泉街にはぽっかり更地スペース(旧「山水」?)もありまして悲しい限り。



というわけで「ペンションワンダーランド」さんにチェックインしました。新しくゴージャスなお宿ではありませんが、メンテナンスはしっかりなされており宿泊時において不満を感じることはなし。というか居心地よかったなぁ。

到着時には同宿の3人さんが早々と宴会も佳境という感じでしたが、「伊藤新道」「あの山のあそこは云々」という断片的なお言葉を耳にして「あ、この方々は山屋さんだな」とわかりました。実は朝になるまで言葉を交わすことはなかったのですが、逆に朝、言葉を交わしてびっくりしました(下で書きます)。



おしんこどんは早速玄関先に「雪ちゃん」を製作。さていつまで残り続けるでしょうか?

ところでこちらのご主人は長年「自然学校」(自然体験活動のための『場』『プログラム』『指導者』を、年間を通じて提供する施設)の活動に携わっておられるようで、駒の湯のご夫妻と懇意になさっているくりこま高原自然学校の話をすると「ああ、○さん(先代の校長)のところですね」とすぐにわかったようでした。

さて、宴会の皆さんがわいわいしているうちにお風呂に行ってきましょう。もっとも、あの方々はすでにお風呂に入った上での宴会行動だったのでしょうが。





とはいえ、反対側にはちゃんとシャワーカランもありますから(源泉利用ではない)、浴槽から湯をくみ出して洗う必要はありません(いや、自分はあえてそうしていましたが)。

なお施設内にお風呂は2つあり、1つは女性専用、そしてもう1つ(上画像)は男性用および家族風呂となっています(鍵を掛けて入る先着方式)。われわれも最初は別々に入りました。



さて検温検温♪ふむふむ湯尻の表面で44.0度ですか、ぬるいですね(前夜のお宿湯との相対的比較です)。で、湯口は47.7度とまぁ常識的な投入温度です。先客さんによる攪拌効果および湯口が真下を向いているため源泉も浴槽内を対流するためか、特に底部がぬるいこともなくだいたい浴槽全体が44度弱に保たれていたと思います。

掲示されている分析書によると泉質は「ナトリウム・マグネシウム・カルシウム-塩化物・炭酸水素塩泉」で、源泉は49.7度。分析書に手書きで「浴槽の温度 45度~46度」とありました。やはり寒い時期は多少温度が下がるということなのでしょうか。ということは、夏の暑い日にはなかなか苦労する湯だぞコレは(笑)。



窓は開けられていたので湯気モウとは無縁の快適入浴。

それにしても、嶽温泉のバリ硫黄泉とは一線を画す泉質で、成分表には硫黄とか硫化水素とかの文字も一切ありませんでした。これだけ近いのに‥とも思いましたが、考えてみれば嶽温泉の源泉は奥山からの引き湯で、こちらの羽黒源泉とは水系が違うのです。いっぽうで下流に位置する湯段温泉とは同じ水系であり、何となく似た泉質であるのも肯けます。

さてそんなわけですぐに夕ごはんなのですが、これがまた秀逸で云々♫






固形アルコールのファイアーによる余計な焼きもの鍋ものはない代わりに、しっかり冷凍でキープしてきた嶽きみのスープや(これ絶品!)、その他もまさに手造りの品々ばかり。ここの食事は本当に(量的にも)気に入りまして再訪必至かな(おまけでいえば夏もエアコンありですし)。

さてところで、この日の夜から翌日お昼頃にかけては天候が悪化しそこそこの大雨という予報でありました。確かに夜中には雨音が続いておりました。気温が高いので雪ではないということでしたが‥



朝の気温は6度ちょい。右上画像では見えていませんがそこそこの強い雨で、玄関下におしんこどんが製作していた「雪ちゃん」はすでに影も形もなく大地に還っておりました。この日はお昼ごろまで雨ところにより強し、午後から曇り一時晴れという天気予報でしたっけ。



朝ごはんも美味しき適量(Takema基準)。

この日は全然急がないので湯っくり。と、Takemaケムリ行動中にかの山屋さんのお一人が車に何かを運び込んでいたのだか搬出していたのだかを見ており、すれ違いざまにちょっとお話をする機会がありました。山屋さんからのお声がけいわく、

山屋さん 「あの車の方ですよね、習志野から?」
Takema 「ええ。皆さん登山で来られているのですよね、
昨晩ご宴会中にいろいろな山の各地域の話を
聞いていて山屋さんだなと思っていました。
それにしても、昨日のうちに登っておいたことは
日程的に大正解でしたね。今日は大雨ですし。」
山屋さん 「いえ、今日これから岩木山に登るんです。昨日は
新幹線でやってきてレンタカーで早めに着いたので
宴会をしていただけなのです。ただ今日は状況が
悪いので、『行かれるところまで』ということにしています。
このあともあるので(八甲田&蔵王)。」
Takema 「え゛。そうなんですか!‥上部は風雨も強いと
思いますし雪もこの雨でグズグズだと思いますんで
雪崩の危険も含めて十分ご注意下さい。」
山屋さん 「はいわかりました、ありがとうございます。」

ええっと自分は数十年前高校山岳部の部長でした。大学の登山サークルでは余所者なれど(他大学在学者)そこそこの経験者として登山パーティーのリーダーとしていろいろと縦走計画の立案のみならず食料計画(これ超重要)、必要燃料量の想定その他を考えて、冬山・春山を含めて登ってきたつもりです。そんな自分がこの山屋さん4名パーティに(心の中で)申し上げたかったのは‥



ただ、自然学校校長であるペンションのオーナーさん@岩木山のプロがストップをかけていなかった以上、自分には何も言えません(たぶんあまり上までは行かれないと想定していたのでは?)。

ただ自分だったらこの日の山行は見合わせる(昼間から宴会@英気を養う)ことにしたと思います。雨も風も強い中気温は高くぐじゅぐじゅの雪、そもそも踏み抜き等で樹林帯では厄介ですし、樹林帯を抜けた上ではそれこそ何が起きるかわかりません(頂上部でも雨だとすればどんどん残雪の安定度が変わり、単位重量は重くなるばかり。それがちょちょっと崩れてきただけで(以下略))。

‥とのように思ってしまいましたとさ。余計なお世話でゴメンナサイ。

さてわれわれも出発しましたが、ほんの10数分走ったところでハイ停車。



新岡温泉にやってきました。ここに来るのは2回目ですが、何だかもう一度入っておこうと思ってやってきた次第です。脱衣カゴには先客さんの着衣がお一人分。うーん惜しいなぁと思っていたら、ほぼ入れ替わりに出て行かれたのでこれ幸い!



モール泉ですかそうですか(公的な泉質名はナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉)。上画像にも「浴そうは毎日そうじをして‥」とありますが、前回訪問時、オーバーフロー湯が流れる洗い場であわやすってんころりんしそうになった記憶があります(ぎりぎりのところで踏みとどまった)。さて今回はどんなものだろうかと確かめてもみたかったのです。





検温はしませんでしたが、体感的には42度台半ばというところで万人受けするかな。さてオーバーフロー部分‥お?確かに滑りやすくはなっていますがすってんころりんレベルまではいかない?あの時の自分がただうっかり八兵衛だっただけかな?

というわけで、しっかりかけ湯&大事なところ洗いの儀を終えた後、いざ入浴です!





とにかく湯口に近づき、続いては生理学的検査に入ります。いや、単純に見た目と浴感チェック、それに源泉テヘペロリなんですけれど(苦笑)。

ふむふむ、茶系の色つきはありますが濁りはなく、薄い麦茶のような色合いです。浴感は予想通りツルツルに近いツルでしょうか。ペロリの感想は薄塩味と金気、それに微硫黄臭と土類系の臭いといったところでしょうか?でも何となくですが全体的にあっさり系になったような?たまたまこの日がそうだっただけかも知れませんが(温泉は生きもの)。



ちなみに旧番台部?に設置されていた立派な掲示(左上画像)には「源泉:47.6度」(2007年)とありましたが、脱衣場入口の掲示(最新分析 2017年)では「46.0度」となっていました。10年で1.6度下がっている?これはちょっと心配な案件でもあります。湯脈は違うとはいえ近隣の嶽温泉があんなに苦労していましたから。

さてこのあとは突然ですが!





そもそも下調べが甘くて(いつものこと)、次善の計画どころかこの日どうしようかも前夜に考えたわけです。さらにこの日は雨が降っていたわけで屋外はパスしたいとなると選択肢はほぼなくて‥の中での「窮余の一策」だったわけです。でもなかなかよかったかなと(オフシーズンで空いていましたし@個人的に重要)。



まずはねぷた巡行に欠かせない太鼓と笛の実演から。で、このあと「では、太鼓を叩いてみたい方、いらっしゃいませんか?」というわけで満を持して?おしんこどんはかつて北海道盤渓ひかり温泉での私設盆踊りの太鼓役を始め、八丈太鼓も叩いています(この時とか)。というか彼女は地域のお囃子でも普段から篠笛や太鼓を演奏しているんですよね。





さ、太鼓を叩いたあとは見学しましょ。



このあと、津軽三味線の演奏があるというので再び太鼓の場所に戻ってきて鑑賞です。比較的シンプルな「津軽じょんがら節」。

外へ出てみると、雨の降り方は弱くなってきていました。さてどうしようと考えたところでやっぱり温泉かな。ちなみにツイッターXのフォロワーさんが「以前はアウトドアでガンガンやっていた人が温泉ダーになっていた。どうして?と聞いたところ『だって温泉は天気を気にしなくていいし』と返してきました」的なことを書いていました。自分も同感です(野湯はともかく)。

というわけで、とりあえず未湯のところならどこでもいいやというわけで館田温泉へ。津軽には共同浴場がたくさんありますが、このご時世ゆえ撮影には気を遣います。特に市街地周辺だと日中でもどなたかが入浴されているのが普通であり、ならばというわけで「家族風呂がある施設(津軽地域では比較的多い)では最初からそっちにしちゃれ」というスタンスの自分です。これも現地の上記フォロワーさんから学んだ知見です。



3階建ての大きな施設で、以前は宿泊営業もやっていたようですが現在は日帰りのみで家族風呂は別棟に2室。ん?ということはもしかして?



プラ波板で囲われた通路を通って家族風呂へ。この通路、何だか生活感がありましたね(変な意味ではありません)。お部屋はフローリングにソファーが置かれておりました。もしやこの別棟の2部屋は旧宿泊施設だったのかも?(根拠は薄弱)。で、肝心のお風呂といえば‥





1時間1500円、休憩室も脱衣場もそこそこ広くて、それこそ家族連れであればかなりゆったりくつろげるのではないでしょうか。造りも綺麗です(あ、われわれには広すぎかも)。



お湯は出しっ放し式で入れ替え式ではないようです。ナトリウム-塩化物泉の無色透明湯で少々の塩味と何やらとっかかりのあるうっすら苦みがあります。湯の個性としてあまり特徴はありませんが、毎日浸かる湯としては極上です。なお湯口にはご覧の通り湯花キャッチャーが固定設置されており、茶系の湯花が溜まっています。



浴槽内の湯温は42度弱くらいで適温です。湯口には湯温調整のできる蛇口が付いていますが一切触らず、湯守が「これがベスト」と設定した状態をキープしました。あぁー、いいわぁ(しみじみ)。

湯上がり後はラフな格好(ご想像におまかせ)でくつろげるのも家族風呂のいいところで、クールダウンで窓を開けてTVを見ながらゆっくりし、さーてもうひとっ風呂。



来たときは気づかなかったのですが、ロビーには大きなゲージが設置されておりました。うん?鳥かごじゃないし、ゲートは開いているし、ん?爪研ぎがセットされている?ネコのおうち?

よく見ると、上部のつり下げハンモックに白い物体が。終始寝ていて顔は見られませんでしたが、ネット情報によるとこちらの温泉にはトラちゃんとライちゃんという2匹のネコがいるのだとか(どうやら最近やってきたらしい)。寝ていたのは白いからライちゃんかな?

さてそうしたらお昼になっちゃいましたんでランチとしましょう。われわれには珍しく、お出かけ3日目にしてまだお蕎麦を食べていないので、ここはお蕎麦限定で検索。うん、ちょっと奥まったところによさげなお店があるぞということで行ってみましょう!



やってきたのは「蕎麦清」というお店。来てから知ったのですが、すぐ裏には「清野製粉」という工場が。どうやら(間違いなく)製粉工場の直営店のようです。これは期待できます!(ちなみに車は工場側のスペースにも駐めていいみたいです、というかそちらしか空いていなかったので)。



おしんこどんは天重とざる蕎麦のセット、Takemaは天ざるを注文しました。うん、天ぷらの揚げ具合がかなり絶妙で美味しい!個人的には薬味のネギがもう少し多いと嬉しいところなんですが、それはともかくとしてもかなりグレードが高いです。満足満足。わかりにくい場所にあるんですが、そこそこお客さんが入っていました。

なお、この日は「津軽地方の3月とは思えない」ほどの陽気で、弘前の最高気温は18度。やや風は強かったんですがそれこそ長袖1枚上着なしでも過ごせる陽気でありました。ただ店内の暖房は「通常設定」だったのか、かなり暑かったぁ(TakemaはTシャツ1枚になりましたっけ)。



昼食後、途中R7沿いのGSでガソリン補給をしたのですが‥



なぜこんなに安いんだ?とびっくりしました。一般に、「製油所からの距離とガソリン価格は比例する」と言われ、製油所は海沿いにあることが普通ですから内陸県では価格が高い傾向がありますが(長野県など)、青森県に大規模な製油所があるという話は聞いたこともないし?

とある商社系のGSが業転玉等の活用等で安く販売しているので、同業他社もそれに引きずられて安く販売せざるを得ないということもあるようですが、本当のところはどうなのかわかりません。いずれにせよこの安さは羨ましいなぁ。

なお、上画像の奥には岩木山が見えていますが裾野のみ。やっぱり頂上部の天候回復はなかったようですね(雨は止んだかも知れませんが)。



このあとは(時間調整の必要もあって)道の駅つるたに立ち寄りました。どうも最近も来たよなぁと思って調べてみたら、半年前の2023夏にも来ていました。画像はありませんがむちゃくちゃ暑かった記憶だけは鮮明です(笑)。

と、隣接する直売所に人々が入っていくのを見てわれわれもついつい。で、購入したのは地元産でもない柑橘類でありました。今回はあと数日で帰宅するので「お土産としても購入できる」というわけです(普段は無理。福島の桃のように「旅行中に食べ切っちゃう」場合は別ですが=こちら)。

そういえば道の駅の建物脇には「お肉の自動販売機」がありまして、中にはロシアンルーレット的に「何が出るかはお楽しみ」のボタンもありました。あのボタンはどれくらいの頻度で押されるんだろうか?(笑)。

ここからは西進し、ほどなく岩木川を渡る橋にさしかかりました。というわけで後続車がないのを確認しつつ‥撮影!







で、半年前同様に「鶴の舞橋」へ。とはいえこの橋は3月末までは通行できず、さらには昨年度から3年計画で大規模補修工事中なので今回は遠望するにとどめます(2023/7の訪問ページはこちら)。

橋は三径間構造で、昨年度は南側の一径間が補修されたようです。明らかに色が違いますね(白っぽい)。

さてこの時点でほぼ15:00。それでは、早めにこの日のお宿に入っちゃいましょう。

[戻る] [次へ]