(あまり意味はありませんが上ロゴマウスオンで英語表記に変わります)

− 2013 カムチャッカ旅行記その7 ゲイゼル渓谷探勝、くぅーっ、スゴイが残念&無念? −



さぁって、ヘリ同乗者の一団はいったいどこに行くのでしょうか!

というわけでヘリを降りてわっせわっせと歩いていきます。もちろんここに陸路で到達することは出来ず、ここゲイゼル渓谷は空路でのみ到達可能な場所なのです。それにしても、われわれ以外は全員ロシア人かCIS諸国(旧ソビエト連邦域内)の人たちで、このツアーに参加できるということは皆さんお金持ちなのね。スマホを手にしているのはあたりまえ(Takemaはいまだガラケー)、タブレット端末も何人かの方が持ち込んでました(TakemaはいまだにXPのノートPC)。

と、ちょっと自嘲的になったところで、ベースとなる建物に到着です。これがまた、何ともいえず瀟洒な外観のロッジ風なんですが、これがロシア風というわけではないと思いますいずれにせよも相当お金をかけてるのね。

一方で、その脇にはまるで「工事で出た残土をのそまま放置」したような土砂むき出しのエリアが広がっています。これだけ見ると何だか整備がイマイチでイメージが悪いようにも見えますが、実はこれも自然の営みの結果なのです。そのいとなみとは‥

ということなのです。約500万立方メートルもの膨大な土砂が源泉地帯の下流部に流れ込んで川をせき止めてしまったわけですが、実はその土石流は途中で2方向に分かれ、一方は下流部へ、そしてもう一方は、何とこのベースキャンプの方向へ進んできたのです。

当日はこの日のようにヘリツアーも催行されていたそうで現地にも観光客がいたそうです(だから別に荒天というわけではなかったのでしょう。荒天ならヘリは飛びませんから。ただし6月上旬ということは残雪がたっぷりと残っていたはずで、それにより崩落斜面内部には地下水がたっぷり含まれていたと思われます)。そしてその土石流の流れは‥


(左上画像マウスオンでその時の撮影画像に変わります)。

なおこのベースキャンプはもちろんのことキャンプ管理関係者の居住棟、またこの建物正面のヘリポート(駐機中だったらしい)、そして何よりも「現地訪問中のツアー参加者」、そのすべてが奇跡的に難を逃れ、身体的&物理的被害はほぼゼロだったというのですから素晴らしい!ハラショー!

そのせき止めダムについては前ページの動画のラストでも見えていたと思いますが、崩落後「この天然ダムを壊して前に戻すか否か」という検討が行われたらしく、その結果「これもゲイゼル渓谷における自然の営みである」という理由からそのまま残されることになったそうです。残念ながら下流域の間欠泉は「ゲイゼル次の営み」までは水の底に‥。翻って日本では「人工的営み=ダムにより永久的に沈んだ湯」も数多くありますし(まさかの60年ぶり復活を遂げた湯もありますが=こちら「自然の営みによって形成された上高地の大正池を、観光振興という名の下に毎年浚渫」をしたりもしていますね。ロシアのほうが徹底してます。

なお要所要所でこのツアー専属のマルガリータさんの説明が行われます。ロシア語は全くわからないのでしばし呆然と待ち、そのあとわれわれのために英語で説明してくれるわけですが、彼女の英語は聞き取りやすくてありがたい!(要は英語ネイティブが相手だとTakemaのリスニングレベルを超えちゃうわけですわ)。はい、マルガリータさんのご尊顔は右上画像マウスオンね(笑)。

ちなみに別の案内板には日本にもある「ネジバナ」が紹介されていました(左上画像マウスオン)。こっちでは珍しいのかな?うちの職場には自生していますが(笑)。

さてここからの見どころを示す写真看板がありました。しかしロシア語表記のみなので何が何だかよくわかりません。しかし画像中央やや右側に噴気帯があるのはよくわかりますんで、さーて2013年のゲイゼル渓谷はどんなふうに頑張っていてくれることやら?そんなわけで緩斜面に設置された木道を下っていきます。

なお、最初の説明時にマルガリータさんが「この木道以外は一切の立ち入りが禁止されています」と言っておられたっけ。実は「もしかして野湯のチャンスがあるんじゃないか?」と思い荷物の中には「どこでもお着替え&水着」がしっかり入っていたわけですが‥無理かぁ。「湯を見てせざるは勇なきなり!」と、気持ちだけは勇ましいつもりだったんですが(笑)。ちなみにこのエリアは国立公園の中でも日本でいう「特別保全地域」にあたっているらしく、自然に対する一切の改変(草を踏むとかを含めて)が認められていないようです。だから‥

ではでは、その「苦難のお散歩風景」をご覧いただきましょう。間欠泉エリアに至るまでの道沿いにもかなり魅力的な場所がありましたよ。



左上画像はかなり大きな湯池(しかしもちろん進入禁止)。その下には青みがかった湯池も。あ、噴気帯が見えてきましたね。



その青池の近くまで降りてきましたまたその近くには赤池も。しかし相当に湯温は高そうです。日本でいえば「地獄沼」かと(笑)。



茶池はいくつもありましたが、どちらも「人類の入浴を拒否する」感ありありでした。実際にはもっと湯気が上がってたような。



そして「アツアツの青沼」。硫黄臭ばりばりで「入欲」をそそられるものの、「青池や Takema飛び込み 嗚呼合掌」を地でいきそうです(苦笑)。



というわけで「大人の料簡」ゆえに親指を一本立てるだけで我慢しておきました。まぁご覧の湯気じゃ間違いなく無理ですけれどね。

というわけでここまでは「入りたいけれど物理的にも入れない(んで諦めるしかない)」場所でした。しかしこのあと‥





そう、予想通り噴出湯は沢となって「着々と湯温を下げながら」流れ下っていたのであります。しかーししかし!以前にあったであろう増水の影響で沢を渡る橋は落橋した状態のまま。そしてここから先は「無念の立ち入り禁止」となっていたのであります。

ま、橋があったとしても湯沢の湯には触れない高さでしたでしょうし、経験上から「この地点ではまだ熱すぎて入れないはず」という「入欲者の湯勘」もありましたが、それにしてもこのゲイゼル渓谷とは‥

「据え膳を あえて喰わずに 高楊枝」というような高邁な境地に達した御方々なら別だと思われますが、わたしのような「毒を喰らわば皿まで」系の俗物には目の保養というよりも「心がイタくなる」ような感じもしました(笑)。そしてさらにその「心のイタミ」系自然の造形は続くのでありますが(笑)、まずはここまでの動画編をご覧下さい。

いいなー、触りたいな浸かりたいな。しかし現実はかくもキビシイのです(苦笑)。


泥火山系のボコボコも、近くにいるだけで熱気を感じるのでそれこそ「穴どれません」。で、そこから少し下ったところには「Gate to Hell」と名付けられた噴気口が。マルガリータさんによると左が男穴、右が女穴だそうですが、男穴のほうが大きいってことは「男はより多く地獄行き」ってことなんでしょうか?

ま、これは大したことのない動画です。どちらも入浴不能だし(笑)。


そしてしかしそして!いよいよゲイゼル渓谷の核心部にやって来ました。「ゲイゼル」とはもちろん英語表記だと「Geyse(i)r=間欠泉」、アイスランドではそれこそ数十mの高さまで噴き上げるモノを見ているわれわれですが(その時のページはこちら)、ここゲイゼル渓谷にはあちこちに同じような間欠泉が列をなしているということで、まさにここを見るために大枚をはたいてやって来たわけです!(しかし2002年のネット旅行記記録には「5人で870ドル余りだった」とあり、2002/2013の為替差を考慮するまでもなくわれわれの「US$1100/人」とは法外な料金というか2002のそれって安すぎ!でもたぶんロシア語でのメール折衝が出来ない場合、安くあげることはできないと思われます。

しかしまぁもう来ちゃっているんでお金のことは言いますまい(たっぷり言ったし)。で、この「間欠泉の谷」がかなーりいい感じなんですよ!



はい、まずは展望台エリアからマルガリータさんが詳しく説明中。このあとわれわれ by 英語。そしてその眼下には‥




(上画像マウスオンでピンポイント画像に変わります)

ではではまず、たぶんあまり面白くもないだろう静止画です(笑)。斜面のあちこちから湯が不定期間隔でドバドバと噴き出しています。



よく見ると実はそれぞれが真上にジャボーとやってるんですね。



そしてそのそれぞれは斜面を駆け下り‥あ、ここからは温泉ファンの心を揺さぶる世界かも(笑)。



あの湯の流れ込みあたりでうまく川の流れをせき止められたら、そこはもう「Super Heavenというか約束の地」にほかならなくなるはずです!(笑)。ただしあのあたりは川の流れも急そうなのですが、ならば木の陰あたりで噴いている源泉を利用すればいい?上にも書きましたがとにかく「湯を見てせざるは遊なきなり」なのですよ(ん?字が違う?)。

しかしロシアと日本の外交関係を悪化させないためにも、ここでロシアの自然保護法に抵触するような行為は厳に慎まなければなりません。あー、残念。

しかし歩道はどんどんこの川に向かって下っていくではありませんか!もしかして川の畔に「ここだけはお試し入浴OK」のピンポイントプレイスがあったりして?

あ、あそこにシアワセが待っていてほしい、「下ノオ風呂ニ居リマス」なんて看板があったりしないだろうかとちょっと心をうち震わせながら(うそつけここはロシア)、ずんずんと降りていくわけですよ。

あ、ちなみに右上画像の人はそんなの全然興味なさそうにあさっての方向を向いてますね。実はこの方クマ警戒中のレンジャーさんでして、もちろんその右手に握られているのはライフル銃なのです。当然ですがカムチャッカはヒグマの大産地、いや違った農産物じゃないんだから‥大生息地ですからね。

ちなみに日本でも1915年の「三毛別ヒグマ事件」ほかヒグマに関する多くの事件が起きてきましたが(三毛別訪問ページについてはこちら)、ここカムチャッカでも生息しているのはヒグマということで同じような惨劇が起きています。その中でも現代らしいリアルさを感じさせられて戦慄してしまうのがこちら(英語サイト。なお日本語抄訳はこちら)。「自分が食べられている」って‥。そもそも人口も入り込み数も北海道とは比べものにならないカムチャッカですが、同時に生息密度も北海道以上であるのは当然のこと。山に入って出会う可能性は高いでしょう。実はこのあとわれわれも‥。

さてずんずんと降りてはいきますが、いかんせんグループの最後尾にいるので前方の詳細はまだわかりません(マルガリータさんは先にロシア語での説明を行うので「あとから行くのが賢明」なのです)。でもその途中に、木道のすぐ脇に小さな湯田真理湯だまりがあったりしましたんで、せめて手湯!いやその前に検温度チアーとまいりましょう!



ちなみにこんなところまで温度計を持ち込んでいる輩はわたししかいなかったようで(そりゃそうだろ)、皆さん興味深そうに見てましたし英語で温度を言うと「ひぇー」系の反応。え、皆さん英語わかるの?(実際には英語のわかる人が説明していたようですが)。

さらに下っていくと斜面の途中に間欠泉がありました。ここは確か6分に1回くらい小規模に吹き出すということで、うーんとっても観光向けなフリークエントサービスではないですか!(笑)なかなかコンパクトでいい感じだったんですが、動画も撮ったつもりで撮っていなかったみたいです(合掌)。



これは間欠作業完了時の画像。下流に流れ出して来た湯は‥ああやっぱりお熱いのね(右上画像マウスオン)。

で、いよいよ誰もいなくなった川沿い展望台へ。その先には何やら橋が架けられているのですが‥うーん、これはどう考えてもレンジャー巡回用でしょう。でもね!この泥色に濁った支流の先はといえば!(右上画像マウスオン)。

「え、これって泥水というか泥湯に浸かるみたいなモノじゃないですか、こんな汚いところに浸かろうなんて思えないんですけれど?」とお思いのあなた。あなたはこの日本社会において健全な価値観を有している人だとは思いますが、バイクとかバンジーとかはともかく温泉に関しては「ある種の価値観」を共有しない方だと思われます。あ、でも(大切なことですが)そんな価値観なんてどうでもいいことなんですよ(大笑)。

そんなわけで「禁断の行為」に及ぶこともなかった(できなかった)われわれというかTakemaは無念の思いを抱きつつ次のスポットに向かったのでありました。



だってさー、「湯を見てせざるは優なきなり」なんですからね。

なおこのあたりには多くの高山植物が自生しています。カムチャッカ全体にいえることですがやはり千島列島を通じて北海道と続いていることもあり、大雪山系で見られる花がそのまま見られます。花についてはあとのページで詳述しますが、左上画像はフウロソウで、日本の標高高めエリアでも普通に目にする花です。ハクサンフウロなのかチシマフウロなのかはどうでもいいことですよね。

で、ここまで書いてきてしまったと思ったのが右上画像でありまして、一応Takemaも多少の高山植物名は知っているのですが(あくまで多少ね)このひねり系の花がわからない?どなたかご存じの方ご教授下さいませ。

このあとは、下流の天然ダム方面へと向かいます。

ご覧のとおり綺麗な青色の湖が見えてきましたが、かつてはこの川沿いにも多くの間欠泉群があったそうです。しかし2007年の地滑りにより、その土石流のメインストリームが川の本流をせき止めてしまったためこのような姿になってしまったということでした。

そのため現在は右上画像に見えているテラスまでしか行かれません。しかし、そのすぐ先にはかろうじて難を逃れた間欠泉がぽっかりと顔を出しています。この間欠泉は約60分に1回、数分間にわたって10mほどの高さにまで湯を噴き上げるのだといいます。そろそろだろうということでしばらくここで待機することに。



これが「これから暴れる予定の湯口」というわけですね(笑)。



直近テラスはご覧のとおりの大混雑なのですぐ上のもう1つのテラスに移動しました。

しかしこの間欠泉、恥ずかしがり屋なのか不精者なのか、予定時間を過ぎてもなかなかやる気を見せてくれません。と、よせばいいのに雨まで降って来ちゃいました。ちょっと前までは晴れていたのに、やっぱり山の天気は変わりやすいものです。もっとも折りたたみ傘を持参してきたので大きな問題はなくそのまま「その時」を待ちます。すると‥。



最初パチパチ聞こえるのは傘に当たる雨音。後半になるとパワーが弱くなります。

さすがにアイスランドのあの間欠泉には高さの点で遠く及びませんが、こちらの場合エリア全体であれだけそれぞれに湯を噴き出させているのですから地中内水圧はずいぶん下がっていてもおかしくないはず。相当地表近くにまでマグマが迫ってきているエリアなのでしょう。

ちなみにこの湖ですが、これだけの源泉湯供給を受けているおかげで、表面温度は20度以上あるそうです。でも計測した場所にもよるでしょうし、もしかしたら適温の場所だって!(湯望)‥あ、立ち入り禁止だっけ(湯望雲散霧消)。

さてこれでゲイゼル渓谷の「見学」はオシマイです。へ?ツアーってこれだけなの?いや、まだ続きますよここからは「ヘリで3駅各駅停車」ですから!


ゲイゼル渓谷、さらばぢゃ!ただ、もう来ることはないか‥





さて往路は直行で来たわけですが、帰路は3区間に分けて戻ります。何だかそれを聞かされただけでものすごく得した気分になるのはわたしだけでしょうか(笑)。ではまずウゾンカルデラへと。

[戻る] [次へ]