− その4 洋食ご飯&温泉タンノーの上でどぶろく飲みつつ帰宅♪−



やっぱり最後は温泉で〆としなければいけませんよね♪

(2017年2月25.26日 その4/4)



阿仁合駅に戻ったあとは駅舎内でお昼ごはんなんですが、え?「日本一銅山の町」って?ここに大規模な鉱山があったことは乗り合いタクシーの運転手さんからも伺っていましたが、尾去沢鉱山(鹿角市)には叶わなかっただろうし?と思ってネットで調べてみたら、どうやら江戸時代の1716年に日本一の銅産出量を記録したのだそうな。

この書き方だと眉唾物的になってしまうので(銅の採掘量はどこでも明治以降機械化が進んで一気に増加したことだし)、逆に時期を明示して「阿仁の鉱山は江戸時代中期(1716)、すでに日本一の採掘量を誇っていました」と書いたほうが「ほほぅ、そんな昔から?」「ここに鉱山があったんだ」と言うように興味を喚起できると思うのですが。

ついでにいえば「鉱山の町」というには駅にそれをアピールする説明書きもないんですよね。PRに各所の連携が取れていないように感じました。少ない人数でやりくりしていることの大変さはわかりますが、だからこそ各所で連携しないと!頑張ってほしい!

個人的に思うのですが、ローカルエリア市町村の観光課とか観光協会さんとかでは、「今までのやり方=とりあえず紹介しておく」の延長線上でしか施策を切り出していないところが多いように思います。地元民しか知らないような小さな、でも実は結構すごい場所、そこそこあるのではないですか?今やそこそこ有名になった「キリストの墓」(青森県新郷村)とかもそうですし(2011夏の訪問ページはこちら)、福島県南相馬市の石仏群だって(2017/1の訪問ページはこちら十分に観光資源になりそうなのにそれをアピールしていないんですよ、ネットならお金もかからないのだから(逆に検索までしてもらえる)いくらでもすればいいのに。もったいないよなぁ、このインバウンド個人客全盛の時代に。

阿仁ゴンドラも外国語ページはないようですし‥もう少し何とかしましょうよ。地域の疲弊を言うのはたやすいですが、座して何とやらより攻めましょうよ!(あ、でも外国語ページを作るにしても経費節減のネット翻訳は避けましょうね(苦笑))。

決してクレームや駄目出しをしているつもりではありません。地域が地域として継続していかれるにはどうしたらいいか?を、観光客という立場からのみ思った(思ってきた)ことを綴った次第です。



阿仁合駅は阿仁地域の顔ということもありもちろん有人駅ですしメイン車両管理施設あり、そして駅舎内には売店、観光案内所、そして「洋食レストラン」までも揃っています。「ここに来ればだいたい何とかなる」と思っていいでしょう(笑)。あ、金融機関はありませんでしたが。



さて、この日のお昼ごはんは駅舎内のレストラン「こぐま亭」にて。駅舎内ということもありぱっと見はレストランというよりは軽食コーナーのような感じではありますが、ちゃんと「シェフ紹介」などの掲示もあります。洋食老舗の「レストラン アラスカ」で26年勤務したという実力派シェフが故郷秋田に戻り、伝統食材である馬肉を地元の「松尾牧場」から仕入れてここ阿仁合駅でレストランって‥何だかすごすぎるんですけれど!(右上画像マウスオンでこの日のA&Bランチメニュー画像に変わります)。

ちなみに日曜日のお昼時ということでお店は大盛業中、席が空くのを待つ人(われわれ)もおりました。でもスキー場の関係者や地元のおばちゃん3人組(皆さん揃ってラーメンをご注文)など、地域の方々の利用もあるようで何よりです。で、席も空いたところで待つことしばし‥





あ、ビール等のお飲み物はお隣の売店で買って持ち込む方式です。われわれのような観光客はこの名物系洋食(900円-1000円)を頼むのでしょうが、地元の方々にとっては日々そんな高いランチは駄目よということからか(というか自分も無理です)、ラーメン(550円)やポークカレー(600円)、また日替わりランチ(700円から)などのメニューも用意されています。

で、食べてみるとオムが絶品!ふわっと仕上げられていつつも生ではなく、忙しい中でもちゃんと丁寧に仕上げられています。馬肉は臭みもなく、もともとが牛肉に比べてあっさりしているのでハヤシのソースと合います。

おしんこどん注文の馬肉シチューも美味しかったんですが、個人的には馬肉オムハヤシのほうが好みでした。単品で頼みましたが、オプションのスープ&サラダセットが100円と格安なので是非自販機でもう1ボタンを押してくださいませ。今回は全然気づいていなかったんですよ。



食事後も時間があるので駅前にある内陸線資料館を見学。あーそうだった、角館線と阿仁合線だったわーと懐かしく思い出しました。それにしても、阿仁鉱山があったことにより路線計画時の人口は現在よりはるかに多く、現路線を開通させる意味ははるかに大きかったことでしょう。計画当時は鉱山閉山に伴うここまでの人口減少も考えられなかったことでしょうし。

というか、われわれは「過去からの学習」も「今どうするべきかという未来への想定」もろくにできないわけですね。この地域をかつて支えていた「鉱山が今後どうなるか(いつかは必ず資源が枯渇するのに)」、「ここにこういう施設を造ればこれだけ人が集まり地域が活性化する(必ずや甘い見通しを前提に)」、そしてそれはかの原発においてもそうであり、そこに「安全神話」なるものが上重ねされたことから一層ろくでもないことになったわけで‥。

もちろんここで原発事故の是非云々を語るつもりはありません。ただ、かつて各地方をとてつもない力で牽引した鉱工業、そして現在に至る原発をも含めて、それが実は「いかに脆い存在であるか」ということだけは間違いのないことです。原発の危険性をいうのではありません。「鉱山も原発も、いつかは閉山するし廃炉せざるを得ない」、そういう運命とともに存在しているというというわけです。

前日の尾去沢もここ阿仁も、鉱山が興ったことで始まった地域でしょう。いやこの北鹿地域(というのかな)周辺の温泉は小坂周辺とか古遠部とかもみんな鉱石採掘のボーリングで見つかった湯だということですしね。あ、思い出した!滝ノ沢温泉!偶然ながらぎりぎり閉鎖前に間に合ったんですよ(当時のページはこちら)。



改札が始まったのでいざ角館行き列車へ。1両編成ですが始発ですし人数&グループ数を見ていましたので焦る必要もありません。中国語を話す団体グループさんもいましたがそれほど声が大きくなくて、勝手に「台湾人の皆さんなのかな?」と思ってしまいましたが、声の大小はともかくとして英語で話しかけておけばよかったと後悔。どういう思い(というかツアー参加への興味)からここ秋田内陸鉄道に乗っているのかを聞きたかったですね。



と、ここで出発前にトイレとタバコというわけで最後にダッシュ(灰皿は資料館の前にあります。トイレは車内にもありますが)。あー、また雪が舞ってきたなぁ。



そんなわけで今回こそビールを買い込んで乗り込みます!(これがもともとの狙い=雪見鉄なんだって)。この阿仁合駅は車両基地でもありいろんな車両が集結しています。「MORIYOSHI EXPRESS」、乗ってみたかったなぁ。これをJR秋田駅から鷹ノ巣経由で角館駅までぐるりと回す手はないのでしょうかね?秋田新幹線内でお客さん同士が「この先は五能線?秋田内陸線?」と聞き合う感じで。車両はあるのだからもったいないですよ。ツアーでもいいからさぁ。

さてここ阿仁合からの先の区間は今回の冬鉄雪見旅の白眉らしい鉄橋が?画像で見るより動画で見ていただいた方がいいと思います。



まぁ一応鉄橋上の画像もね。ここでは列車は最徐行します。



これも難読駅名として記憶の隅っこで覚えていた気がします。車内はそこそこ賑やかです。




しかし、Takemaとしては2ヶ月前(2016/12)にミャンマーのゴッティ鉄橋を通っているだけに「ふふーん」程度だったのはここだけのヒミツです(詳しくはこちら)。ただし雪があるとないとでは風情が全然違いますから単純な比較はできません。でも、「この橋梁上限定で『窓開け推奨』の放送」っていうのはどうでしょうかね?お天気にもよりますが、リアルと窓越しって聞こえる音が全然違います。海外国内を問わず、旅行者はリアルを求めているわけです。クソ寒くてもこの橋の区間だけはあえて「どうぞ窓を開けて橋の上の空気と感覚をお楽しみ下さい」とやってほしいところです。もちろん窓の開く普通列車だけのことですけれど。

さてそんなわけで列車は終点角館を目指して邁進していきましたが、われわれは最後のあがきとばかりに阿仁マタギ駅で下車してしまうのでありました。だってほら、この日はまだナニをナニしていませんでしたからね。



阿仁マタギ駅で下車したのはわれわれだけでした。無人駅ゆえ誰もいないんですが、階段を下りた先の広場には1台のワンボックスカーが。はーい、温泉行きますよー!

今回の旅行計画を立てていてびっくりしたのが、この打当温泉マタギの湯、何とここ阿仁マタギ駅から温泉まで無料で送迎してくれるのだということ!ちゃんと公式ページの「アクセス」のページに書いてあります。でも念のため事前に確認してみたところ「当日、事前に電話をいただければ大丈夫ですよ、お2人ですね」とのことでした。ちなみに1名でも大丈夫なのだとも(未確認)。

駅から温泉までは片道2.2kmということですが、歩くと30分近く*往復ですからね。車だと5分ほどということで何とも有難い!そんなわけで阿仁合駅滞在中に電話を入れていたというわけです。とぉーってもありがたいぞぉ!

というわけで阿仁マタギ駅着14:13、次の列車が発車する15:50まで約1時間半で湯ったりしちゃいます!



文明の利器のおかげで何の苦もなく温泉へ到着。しかもシカモ、鹿もですよ、入浴料金は450円のところ、われわれの切符である「森吉山観光パス」を提示すると入浴料が100円引きとなるおまけ付き!ふだんは温泉本等に付いている割引などを使わないわれわれですが、今回は思わず提示しちゃいました。鉄道と地域施設とのタイアップ企画ですから、こういう場合はありがたく利用させていただきます。

で、お風呂に進んでみると、あれれ思いもかけず先客さんは4人ほど。ずっと前のGWに前を通ったときはまぁ見事に駐車場が満車御礼で「こりゃ芋の子洗い必定だな」と考えてパスしたわけですが、これならいいなぁ。で、露天風呂もあるので「あっちが無人になるときがあるはず」と考えてその時を待ちます(笑)。ま、家に帰ってからシャワーを浴びなくてもいいように全身洗いまくっていたわけでもありますが。



そんなわけで露天風呂だけ撮らせてもらいました。源泉はナトリウム・カルシウムー塩化物泉(含塩化土類−食塩泉)56.6度もあるそうです。加水はしていますがかけ流しです。実はオープン当初からしばらくはなぜか循環の湯使いだったというわけです。湯温が十分に高いのに何でわざわざ循環にしていたんだろう?

お湯はカルシウム含有ということもあり多少キシ感ありですが、食塩泉ということで湯上がりは汗が引かないことおびただしかった!で、湯上がりに水分補給。おしんこどんはおみやげを買い込んでいましたが‥ある貼り紙を見つけるやいなや予想どおり、





という話の流れとなり、持っていたペットボトルを洗って1合分汲んでもらうことに。そう、こちらでは合法特区としてどぶろくを販売しているのです。入れ物持参とのことですのでお忘れなく(売り切れていることもあるそうですので運試しですね)。結論としては「2合分汲んでもらった方がヨカッタかなぁ」(笑)。

このあとは再び駅まで送っていただき「急行もりよし号」の到着を待つことに。



その間にもおしんこどんはミニ雪ダルマは造るわ足は上げるわで忙しい(左上画像マウスオン)。



というわけで急行もりよし号がやってきましたが、何と1両、しかも普通車両でちょっとがっかり(有料急行ですので)。でもトイレ部分の壁ほかには秋田犬の大きな画像ほかがあり、また折しもひな祭り前ということで車内にはつるし雛のデコレーションもなされておりました。また観光協会職員さん?も同乗されており、車窓案内はもちろんのこと何と車内販売までこなすという至れり尽くせりです。しかしわれわれは‥







ちなみに車両先頭部とはいえロングシートしか空いていなかったのが切ないのですが、このつるし雛がまた良く揺れること(笑)。まぁおかげで車両先頭部からの景色は眺め放題だったので問題なしです。そんなわけで最後の動画をご覧下さいませ。






角館盆地が近くなると日も差すことも(ただし一瞬)。でも今回の鉄旅、奇跡的に全部ダイヤどおりに回れました!



そんなわけで角館駅に到着。ここで秋田内陸線ともお別れです。阿仁前田−阿仁合は未乗区間として残ってしまいましたが、自分としてはそれよりも「同区間の代行バス乗車経験」のほうが貴重かなと思うので気にしません。

この「秋田内陸縦貫鉄道」ですが、年々乗客数が減少しており存続の危機にあるのは他の三セク鉄道と同じです。というかかなり危ないレベルにさしかかっているようで、年間の赤字が県や市町村の「維持前提赤字額」を上回ってしまっています(くわしくはこちらのサイトをご参照下さい)。これは確かに「いつまで存続できるかわからない」流れになっているのかもしれません。

自分もふだんはこの界隈を車で回っているわけですが、秋田内陸線は何と「車の回送」までもやってくれます!(詳しくはこちら)。もちろん有料ではありますが、遠方から来た時にもこの秋田内陸線乗車を楽しめるというわけです。ご丁寧にモデルプランを7つも提案してくれています。特にお子さん連れの場合は検討する価値は大いにあると思います(たぶんそこまで延々と車で移動してきたことでしょうからお子さんは喜ぶはず)。自分としても何とかアピールでお手伝いしたいところです。



内陸線の待合室は小さいこともあり、折り返しの列車を待つ人々でごった返していました。出発まで少し時間があるので駅前の観光案内所で雛飾りなどを眺めつつ時間をつぶします。残念だったのは売店をのぞいてみても駅弁が販売されていなかったこと(コンビニ弁当はあった)。もっとも角館駅独自の駅弁自体がないようなのでしょうがないかな。車内販売に賭けることとして、とりあえずはお酒といぶりがっこチーズのせのアテで耐えることに(苦笑)。



それにしても今さら系の話ですが、17:00ちょい前に角館にいながら20時台に東京に着いちゃうなんて夢のような話です。昔だったらこれ、大曲か盛岡から夜行で戻るしかない時間だと思う‥って、東北新幹線が開通する前の話だからもう何十年も前のお話ですね(大苦笑)。その昔、急行八甲田で青森から上野まで「全区間立ったまま」で帰ったときはさすがにきつかったなぁ(遠い目)。

車販で購入したお弁当はやはり大したものではなくちょいとがっくりでしたが(右上画像マウスオン)、おつまみ代わりにしてまぁいいかと。そんなわけで無事に帰ってまいりました。

雪見の鉄旅、数年に一度はやっている企画ですが、次に行くとしたらどこかなぁ。飯山線か北上線か‥あ、新幹線も函館まで伸びたことだし思い切って道南はどうなんだ!とまぁオチがついたところで旅行記終了です。

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