- その8 肘折の夕方も夜もタンノー、そしてまさかの‥ -



うむうむ、やはり肘折はいい。居るだけで心が和みます。

(2024年8月8日-8月18日 その8)

今回の肘折温泉のお宿は木村屋さん。公式サイトにも「小さな宿」と記載されている通り、全5室しかありません。が!浴室は3つあり、全て貸し切りで利用できます。上画像は一番大きく見晴らしのよい(外は山の斜面ですが)浴室です。やっぱりここが一番気持ちよかったなぁ。

ただ、とりあえずざぶ浸かりした後は外に出ます。だってさ、肘折は外歩きを楽しんでナンボの楽しさがありますから。これは他の温泉地にはありそうで実はほとんどない魅力です。



それじゃ、来たばっかりですが出かけてきまーす!



木村屋旅館は温泉街のかなり奥に位置しているので、まずは上の湯共同浴場まで歩いてきました(すぐです)。すぐ脇には神社の鳥居があり、参拝するには階段を上っていく必要がありますが、実はこの参道こそあの景勝地「地蔵倉」に続くルートでもあります。昨年(2023秋)には西本屋さんに泊まり、ここから地蔵倉を55分で往復し、お宿の方に「え?もう戻ってきたんですか?早い!」とびっくりされて、内心「ふふふ、まだまだいけるのだよ山岳部出身の自分だし」という思いを抱いたわけです(この時です)。でも2024GWに骨折してからはどうもイカンのです平地でも満足に走れません(2024/11現在)。衰えたりTakema!(苦笑)。

さてしかし、今回この時は別に走るまでもなく「約束の地」に到着です。その「約束」とは‥





お土産屋さんメインのカネヤマ商店さんの一角に「角打ち(かくうち)スペース」が出来てもう何年も経ちますが、カウンター席だけでなく外にテーブル席があるのもいいです(昨年もそこでビールをいただきました)。道行く人々や往来する車を眺めながら飲むビールは最高!ただし個人的にはこの席で日本酒に手を出しちゃうとへろへろになりそうなのであくまでビールだけに留めています(個人的節制)。




(ちなみに1号2号とも乗車経験ありです@こちら)。












(夕食時のことを考え日本酒の注文は自粛しました)



お宿に戻る途中でお餅屋さんの前を通りすぎましたが、あちらは朝市でも必ず出店しているのでほぼ毎回購入しています。たぶん明朝も買うんだろうなぁ(買いました)。そういえば源泉公園手前の羽賀だんご店さん、閉店してからもう2シーズンになったかな?店内でも食べたし地蔵倉に持っていって食べたこともあったなぁ。あちらもおいしかった(懐古)。

というわけでお宿に戻ってきました。さてそれではじっくりとお風呂をいただきましょう。







やや熱めの肘折の湯(ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉)が注がれています。窓正面は急な斜面ですが、右上画像の位置からは奥の山まで見えています。展望という点ではあまり売り込みにくい肘折温泉ですが、このお風呂はいいですね。

そして、いきなりの展開ですが夕ごはん。





木村屋さんでは湯治夕食(4品程度)の提供もあるのですが、そちらは2泊以上限定なので今回は通常の夕食です(6品)。お刺身もありますが基本的に山ごはんという趣です。でもまぁ食べきれる量だったのでで安心。もう1品増えたら自分にはそこそこキビしくなりそうです。ましてやこれに鍋など付こうものなら(苦笑)。

さて食事後にしばし休憩したあと再びお出かけです。夜のお祭りがあるわけでもありませんが、「動にあらず、静なるイベント」がそれこそ静かに開催されています。それは「ひじおりの灯」。各お宿や商店の前には絵付けされた灯籠が飾られます。7-8月には前年に作られた灯籠が、そして9-10月には「今年の新作」が各施設前に吊られることになっているそうです。

というわけで撮った範囲でずらりと並べてみました。








同じ灯籠を別角度から撮ったものを含みます。

これらは各施設の方々がそれぞれにデザインされているのかな?いやぁそれはムツカシイというか、これだけの六面絵灯籠を各施設の方々が毎年描くのはおそらく無理でしょう(自分なら絶対無理)。たぶんイメージを伝えてどなたかに描いてもらっているのでしょうが、そうであるとしても、この温泉街の「統一感」はすばらしい。

そして中でも‥











お宿に帰り、あと2つのお風呂に浸かりました。



肘折の湯、自分の感覚は「冷え湯」です。湯上がりはさっぱり。



明けて翌朝です。この日もいいお天気になりそう。この日は駒の湯温泉が目的地、この翌日は1日お手伝いの予定ですがこの日はとりあえず到着するのみなので寄り道もしていく予定です。



まずは朝湯でしゃっきり身体を目覚めさせてっと。









ついつい勢いで買ってしまいました。全然知らなかったのですが、なすの紫色を抜いてから塩と唐辛子で漬けたものだそうで、自宅に帰ってから食べてみたら、瓶の中で発酵が進んだのか酸味がそこそこ強くなっていました。こりゃ自分にとってはご飯のお供ではなくお酒のアテのほうがよさそうです。



もう今は温泉の宿泊客でも入れなくなった仙気湯の前を通って(要は裏道経由で)木村屋さんに戻り、お風呂で調子を整えます(何の?)。そういえば仙気湯や河原湯はわれわれ宿泊客が入れた頃もオートロックでしたが、「近隣のお宅にピンポンしてカードを通してもらう」というアナログ運用だったことを思い出します。もう一般開放されることはないのでしょうが、残念だなぁ。



両上画像は2006訪問時(こちら)の撮影です。懐かしい。



お宿に戻ったあと車に物を出し入れしていたところ、宿の前に一台の軽トラが停車。どうやら地元の皆さんが野菜を購入している様子からすると移動販売車なのですね。考えてみれば朝市で食材全てが揃うわけでもなく、また野菜系の出品は少なく加工品が多いのは観光客目線の品揃えゆえというわけですから、地元の(お宿)の方々が独自ルートで食材を仕入れているのも当然なわけです。



朝ごはんはご覧の通りで十分です。それにしても、どうしてお宿の朝ごはんには「焼き鮭が定番」なんだろうなと思います。そもそも塩ジャケが保存食だったから、海から遠い山のお宿では云々というのはわかるのですが、今や保存技術も発達していますし、アジの開きとかだっていいと思うんですけれどね?いや木村屋さんにどうこうというわけじゃなくて一般論として。

さてこのあとチェックアウト、久々に石抱温泉に行ってみようと思いご主人にひと言申し上げた上で出発です。前にも行ったことがあると申し上げると(実は近年にも行こうとして道を間違えてしまい断念したのはここだけのヒミツです)、ご主人、「ならば大丈夫ですね、お気をつけて」と送り出してくださいました。でもやっぱりゑびす屋さん(管理者)にもお声がけすべきだったのかな?

以前訪問時、声掛けなしにて現地到着のタイミングでたまたまゑびす屋さんの関係者にお会いしましたが、「しばらく掃除してなかったからそこそこ汚れていますが、それでもよければどうぞどうぞ」とのお言葉をいただいたので、それ以降はついつい‥だったりします。やはり仁義は立てなければですね反省です。しかしその因果応報はすぐさまやってきたのでありました(苦笑)。



今回は地図上で道を確認しておいたので、変に山の上に向かうこともなく「約束の道」を順調に進んでいきます。おお、銅山川に架かる橋が見えてきました。いいぞいい‥ん?



何となく異変を感じたので車を止め、歩いて橋に向かってみると‥





肘折温泉は2020/7末に大雨による氾濫被害を受けましたが(郵便局前の橋も洗掘により通行不能になりました@このページに書いています))、それはもう4年も前の話です。これはもっと最近‥というと、直近たる2024/7末にあった「最上川を氾濫させた豪雨」こそがこの惨状をしでかしやがった真犯人か?

この豪雨は肘折温泉に氾濫等の被害をもたらすまでには至りませんでしたが、下流の最上川本流域では大規模な氾濫が発生し、R47は堤防道路ごと泥水の下へと消え、特に戸沢村では多くの浸水被害が出ました。また二次災害として警察官2人が殉職するという悲しき出来事までもが起こってしまうという‥。

「五月雨を集めて早し‥」という芭蕉の句は、まさに旧暦における梅雨時期の最上川を詠んだ句ですが(ただしもともとの句は「早しではなく涼し」だったらしい)、暴れ川たる最上川は昔も今も猛威をふるっているのが実情です。そして今、目の前にあるこの橋にもその災禍が(唖然)。

なお、2024/7豪雨時における銅山川(肘折)の水位変化を寿屋さん(お蕎麦屋さん)がYouTubeに上げていました(自分も豪雨直後に見ていました)のでご覧いただければと思います。



「16時ごろから急激に銅山川の水位が上昇します」とのコメントあり。





ただ、見る限りでは橋の本体に沈降や歪みはないようです(仮橋ゆえ実はダメージを食らっているのかもしれませんが)。よく頑張った!と思うと同時にふと次のような句が浮かびました。





あ、五七五の俳句っぽいものを拙サイトにて詠んだのは初めてかも知れません(笑)。だって自分は芸術的なセンスまるでなしと自己認識していますので(大苦笑)。なお「はるけさ」とは「空間的に遠く隔たっている」という意味の名詞です(なぜか知ってた)。



まずは肘折温泉街へと戻ります。銅山川、この日の水量は(擁壁の色合いを見るに)かなり少ないようですが、いざとなると暴れるのですよね(やめてほしい)。







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