[2023夏北海道編もくじへ]



- その4 鹿部でお風呂、縄文遺跡、そして長万部温泉へ -



どうやら入浴OKのようでひと安心でした。

(2023年7月28日-8月16日 その13 北海道編その4)

さて恵山界隈まで来たのならどこかの湯に入っておきたいものです。というわけで、「ジモ泉化したとか、ジモではないが地元の方が厳しくて入浴困難度が高い」とか、いろいろな噂のある御崎海浜温泉へ。まぁ以前にも2回浸かってはいるのですが(この時とか)、現在の状況確認を兼ねての再々訪問というわけです。

もともと無人の混浴共同湯ですから、たぶんこれまでに余所者が不埒な行動をしでかし、そのことに対して地元住民の方々が腹を立てたということが上記の話のきっかけなのでしょう。そんな例は同様の無人共同湯のあちこちで聞いてきましたしね。特に関東近郊の施設などはもうかなりの確率でジモ泉化または閉鎖されていますし。

で、いざ行ってみると、地元の方以外にも開放しているようだったのと、先客さん(地元の方)もいなかったのでとりあえず入れていただくことにしました。



こちらは定額の料金はなくあくまで「寸志投入」での利用です。とりあえず1人500円なら問題ないだろうということで2枚投入。で、以前とは違っていたのが‥





特段の問題もないというか至極当然のことなので、まずは1枚外しました。われわれは2名入浴なのでこのあともう1枚外しましたが。

それにしても、冬期ならともかく夏真っ盛りのこの時期でもカバーを使うということは、源泉温度が下がったのか、それとも湯量が減ったのか?気になるところではありました。見た&浸かった感じではカバー無しでも問題はなさそうな感じではありましたが。



泉質はカルシウム・ナトリウム・マグネシウム-硫酸塩・塩化物・炭酸水素塩泉で、カルシウム分が多いためツル系ではなくややキシ系の湯触りで、笹濁りでした。以前来た時はほぼ透明だった気もしますが、日によっても色が違うのかな?

さてこのあとは周辺の湯をパスして噴火湾沿いに一路北上です。この日は長万部泊まりなので時間的には余裕がありますが、さぁってどうしようかなぁと思いつつR278の新道を走ります。ガラガラの道なんですがどうもくるくるパンダさんが潜んでいそうな道でもあり油断はできません(つまりは安全速度)。

右手に函館市縄文文化センターを見ながら走行。以前ここに立ち寄ったら、展示品の白眉とも言える国宝の「中空土偶」は東京で展示のためお出かけ中だったことを思い出します。

さらに進んでいくとR278の新道区間も終わりとなり、ここからは海沿いの現道に下ることとなるのですが、その分岐の交差点手前に何やら看板が。

Takema
おしんこどん

前にも書きましたが、おしんこどんのお仕事(パート)は遺跡関係なので、やはりこういうのには心惹かれるようなのです。そういやこの旅行前半の東北編でも青森県田舎館村で「埋蔵文化財センター弥生館」に立ち寄っていましたっけ(こちらです)。



新道のほぼ終点近くにあたる場所に新しい駐車場があり、そこからは歩きでウッドチップが敷き詰められた遊歩道を下りベースで歩いていきます。と、一気に視界が開けるとともにビジターセンターがありましたよ。この看板は反対方向から来ると最初に現れるもので、どうやらわれわれのルートは「裏道」だったようです(笑)。



建物の脇には「石皿」が大量に屋外展示されており、この遺跡の規模の大きさや使われていた時代の長さがうかがえます。

ただ、それよりもちょっとびっくりしたのが「人の多さ」でありました。そんなに著名な「観光地」でもないはずなのに(失礼)建物の前には約10人ちょいの人だかりが。むむっと思って近づいていくと右上画像のような看板が。ええっと思って時計を見ると‥



なるほど、皆さんはこの定時解説を目的に集まっておられたわけですね。申し込みは不要であったため、即座に参加しました!(解説&見学終了後にアンケートに答える必要はありますが、スタート時には何の手続きもありません)。



大船遺跡は縄文中期の集落跡で、1990年代に行われた発掘作業では100以上の住居跡が見つかり、中には深さ2m、直径10m以上の大型住居もあったそうです。また長年にわたり集落が維持されたため、「昔の住居跡に手を入れて新たな住居を造った」箇所も多く見られます。

おっと、これ以上は実際に現地を訪問なさって解説をお聞き下さいませ。



後半になるとおしんこどんも質問をしておりました。



それにしても、北の大地にかつてこれほどに多くの縄文遺跡があったことにもびっくりします。以前(2022)にはサロマ湖畔近くの常呂遺跡も見学しましたが(その時の様子はこちら)、自分が高校時代に習った日本史ではまったく触れられていなかった気がします。まぁまだ調査が進んでいなかったからかも知れませんが(40年以上前のことだし(苦笑))。

なお、それほど古(いにしえ)から人々が定住していたわけですが、北の大地はあまりにも寒く作物の栽培に適していなかったため弥生時代はなく(そもそも弥生時代の時期定義こそ曖昧なのですが)、漁労・採集・狩猟を糧とする「続縄文時代」が7-8世紀頃までは続いたとされています。その後「擦文時代」を経て「アイヌ文化期」へと移行していったようですが、詳しくは自分でお調べ下さい(苦笑)。

さて見学を終えて車に戻る途中で通り雨にやられましたが、多少木々のある遊歩道だったのでまぁ何とか。車に戻り次は‥





というわけでこの辺りでは一番「まだ食べられる可能性のある」道の駅しかべへ。確か「浜のかあさん食堂」とかがあったはずと思うも、問題は到着時点でもう14:05だったということです。いわゆるランチ営業はすでに終わっている予感が‥。



でも手造りでおいしかったし大きめで食べでもあったので満足しました!というかこの時間にモリモリ食べてしまうと夕食に差し支えますのでよしよしというところです(マジ)。

食事後は売店で昆布だしを数種購入。実はこの界隈は「ガゴメ昆布」を筆頭に昆布の産地でありまして、その加工品として昆布だしが何種類も販売されています。地域経済に貢献&おいしいんだもん♪というわけで何本か買ったというわけです(実は「なとわ・えさん」でも別ブランドを買っていました)。一部は奈良のおしんこどん母にお土産です。

それでは自分たちにご褒美というわけでお風呂に行きましょう。鹿部は道の駅に間歇泉があるくらい温泉には恵まれており、以前はおしんこどん母と3人で鹿の湯旅館に泊まり、翌朝早朝にあの山の中の湯に浸かりに行ったりもしましたが(その時のページはこちら)、考えてみればこれまで1度しか浸かってないぞ鹿部温泉!しかも唯一の共同浴場だった「亀の湯」は2020年に廃業となったようです。

となれば‥未訪問のお宿はあと2軒あるのでどちらか‥。というわけで、





幸い到着時に駐車場に先客さんの車はなくよしよしと思いましたが、いや待て、亀の湯なき今地元密着のお風呂として徒歩客来訪中の可能性も捨てきれません。入浴料を支払いいざ脱衣場、そして浴室へ(どきどき)。





まずはかけ湯‥うぉ、入れないレベルではありませんがそこそこ熱めです。泉質はナトリウム-塩化物・硫酸塩泉で、高温(70-100度)のため地下水を加水しているのは当然ですが、もしかしてこちらも「あつ湯原理主義」系のお宿なのかな。海沿いだとよくありますしかの函館からもさして遠くはないですから(笑)。



湯口付近は成分で赤く染められていましたし浴槽周辺の石やタイルも少し染まっていますから鉄分も含んでいるのでしょうか。それにしてはお湯は完全透明で、浴槽底のタイルに色付きがないのは気になるところです。当該成分がそれほど濃いわけではないのかもしれませんね。泉質こだわり主義者ではないのでまぁいいや。よく鉄道ファンの分類で「撮り鉄」「乗り鉄」云々といった分類を目にしますが、自分は鉄道好き分類としては「乗り呑み鉄」、湯好きとしては「浸かり湯組」(とりあえず浸かれば満足する)だと思っておりますので蘊蓄はあまり語り(語れ)ません。

このあとは一気に今宵のお宿へ(最後は迷いましたが)。





さてこのお宿セレクトに意外感を感じる方もいるかも知れません。「長万部温泉ホテルじゃないんだ」「丸金旅館かと思った」という感じで。この宿を選んだ理由についてはおいおい紹介していきますので‥。



エントランスはこんな感じで、昔からの商人宿と湯治宿の雰囲気を漂わせる感じです。自分としては好きな雰囲気です。



さてしかし、「この宿の個性(1)」はこのエントランス部ほかに濃厚に見ることができます。左上画像はアンプとスピーカーですが、よく見てください、アンプは何と「真 空 管」です。今やその姿を見ることはほとんどなくなった真空管アンプがここでは現役なのです(小音ながら曲が流れていました)。

そして右上画像、プリアンプとメイン(パワー)アンプが別々なのは左と同じですが、そこに接続されているスピーカーといえば‥







食事会場にこの圧倒的存在感って(笑)。



もっともこれにはわけがありまして、こちらの宿オーナー氏、この宿とは別にバーを経営していたのです(ジャズバーかな?)。諸般の事情でバーを閉店するにあたり、そちらの機材を宿に移設していたというわけなのです。

予約時には「そのバー、行ってみたい」ということもあり電話をしてみたのですが、オーナー氏「すみません、閉店してしまったので‥」ということで残念ではありました。でも、これだけオーディオ系にこだわりを持つオーナーのスピーカー、多少なりとも唸らせてみたかったなぁ。リクエストするのをうっかり忘れたからなのでありましたが。なぜ忘れたのかは「この宿の個性(2)」についつい心を惹かれすぎてというところだったのですが、それについてはもう少しあとで触れましょう。



こちらのお宿も長万部温泉の湯を引いており(確か共同源泉です)、まずはお風呂へと向かいます。熱めのナトリウム-塩化物泉で、この日も気温は高かったため湯上がりには汗が引きませんでした(なお、お宿にクーラーはありません@北日本のお宿あるある)。



浴槽中央表面で44.7度。黄色く見えますがタイルの色で実際は無色です。

ちなみにこの日は家族連れのグループも泊まっておりまして、小4くらいに見える男の子は大丈夫かなぁ入れるかなと思っていたのですが、翌朝の入浴時、ちょうどその子と入れ替わる形で浴室に入ったところ「加水の気配無し、そして浴槽の湯面がまだしっかり揺れている‥」


(朝の計測では44.1度でしたが)


とびっくりした次第です。いやぁ、あの子すごいなぁと。かけ湯だけだとしても大人でもできない人多いよ45度近くとなると。もしかして函館市民ゆえ温泉銭湯で鍛えているから楽勝とか?(未確認です)。

ええっと夕ごはんにタイムを戻します。長万部は噴火湾沿い、噴火湾といえば毛ガニの産地ということで、こちらのお宿では「毛ガニを2人で1パイ」リクエストしておりました。そういえばわれわれの到着時にちょうどその毛ガニさまを購入してきた宿の方と一緒になったんだっけ。



夕ごはんは比較的シンプルで、毛ガニ1パイを2人で分け分けでちょうどいいなという感じでした。というかわれわれの普段の夕ごはんは正直この半分もありません(笑)。



夕ご飯後、ちょっとお散歩したりしつつまたお風呂へ。ふと斜め前のビジネス宿に目をやると、「あ、エアコン付いてる‥(羨)」。そう、大成館の各部屋にはエアコンがなく、近年は夏になるとしっかり暑い北の大地では「避暑をするのもなかなか大変」なのです。あちらも温泉を引いているのかなぁ?

結局朝方まで室内温度は25度程度までしか下がらず(外はもう少し涼しくなりましたが風なし網戸室内扇風機なので)、こりゃお宿に泊まる前提であるならば来年以降の夏は山陰や九州も考えてみるべきなのかなぁ(笑)。



朝ごはんはシンプルで好ましい。おかわりは面白いシステムでした。

さてさて長らくお待たせいたしました、「この宿の個性(2)」のスタートです。ある意味地味な長万部温泉郷の中でもこちらのお宿を選んだ理由はこちらにあります。



こちらのお宿には多くの「飼いねこ」がいるのです。ただし正式な「飼いねこ」は屋外に出したりはしておらず、右上画像の猫は野良ねこです。ただオーナー氏によると、「入れ代わり立ち替わりだけど常時5匹以上は来ているね」ということでした。彼らは野良だから建物内に入ることはなく、また「飼いねこ」は専用室から外に出していないので館内をねこがうろうろすることはないようです。

玄関近くに2室の専用室があり、朝食後はそちらを見学させていただくことに(なお飼いねこ部屋はエアコン付きでした!)。



外(玄関側)から見たこの「ねこグルグル」も実に良し。



それぞれにキープしたスペースで寛ぐねこたち。



当然ながらイチゲンのわれわれにも警戒心無しです。



キミたちはこれからもこの部屋で日々を生きていくのだね。




あ、念のため申しあげれば上の言葉に皮肉というか反語的な意味はまったくありません。オーナーさんの気持ちはよく理解していますし(だから泊まりに来たんです)、昔はともかく今は家で飼う猫は室内飼いが基本ですしそのほうが長く生きられるというのはもうわかっていますし。





最初は「その咀嚼の小さいけれど力強い音、それはこの子猫が『生きるのだという意志を育む音』にほかなりませんでした」くらいに書こうとも思ったのですが、それだとどこかの赤い新聞記事における余計なコメントみたいになってしまいそうなので自粛しました(笑)。

ちなみに(上にも書きましたが)大成館周辺には常時(平均)5匹ほどの野良ねこがこのようにやってくるようです(もちろん餌は野良ねこ用)。ただしだからといってやってくる野良軍団がどんどん増えるというわけでもないようで‥やはり野良としての生息環境は厳しいのでしょう。

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