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- その7 森吉山ダム堤体内見学、お昼ごはんと温泉と -



「森吉ダム(太平湖)」に続いては「森吉山ダム」にやってきました。

(2023年7月28日-8月16日 東北編その7)

さてグリーンハウス駐車場を出発したわれわれが目指したのは「森吉山ダム」の広報館でありました。ここでダム管理事務所の方と待ち合わせていたというわけです。

こちらのダムではダム堤体部分を含む一般見学を受け付けています。ダムによっては「○名以上の団体のみ」等一定の制限がありますが、こちらでは2名の個人でも大丈夫というわけでソッコーで予約したわけです(なお予約は一週間前まで、平日のみ見学開催)。ただ、予約時にはすでに13:00の回は予約済みだったことで「ならば12:00でお願いします」ということとなり、結果として前ページのような怒涛のお急ぎ行程を余儀なくされたわけです(笑)。ま、あれはあれで楽しかったからね♪



というわけで広報館に到着したのは11:53。何だよそれでもぎりぎりだったぢゃないかというご意見はともかくとして、見学者たるわれわれの訪問時間としては早すぎず遅すぎずの絶妙タイミングだったかなと。それにしても熊、やたら出ているなぁ、しかもこの広報館の付近には特に頻繁に(苦笑)。



しばらくデッキテラスなどで景色を眺めていたあとで案内の係員さんが登場し、お隣の管理事務所へと案内されました。こちらは一般の観光客は入れませんし、この時間の予約客はわれわれだけのようで「三階滝ミニハイクに引き続きこちらもわれわれのみのお楽しみ」と相成りました。2023夏はインバウンド客を含め全国各地の観光地に観光客が押し寄せたようですが(後日談ですが出張で行った2023秋の京都とかはとんでもないレベルでした)、探せばまだ穴場はあるというお手本みたいな感じです。

まずはひろぉいデッキからあらためて「森吉四季美湖」を俯瞰します(うー、覚えにくい名前だ)。

ところで係員さんから「前夜はどこにお泊まりでしたか?」と聞かれ、「杣温泉でした」とお答えすると「そうでしたか。ご主人はお元気そうでしたか?」とさらに問われました(笑)。実は係員さんは地元出身で、ご主人産はマタギの先輩(師匠)でありいろいろ教えていただいたそうなのです(現在進行形かも知れません)。

それにしても、地元出身の方がその故郷のダムで勤務するというのはいいですね。されどそのような例はあまり多くないのでは?農林業を継ぐ場合と公務員を除けば「地元で働く」場ははなはだ少ないはずですから‥。



ページトップの画像と似通ってはいますが、こちらは管理事務所からということもあり、真下に船を下ろすレールが延びています。同じような画像ですがこういう違いだけでも嬉しいのが素人たる所以です(笑)。続いては見学に先立ち事前学習に入ります。



この森吉山ダムはロックフィル式であり、同じ方式のダムで自分が訪問したところでは古くは完成直前の高瀬ダムをヘルメット着用のキスリングを背負って歩いたり(ダム完成が1979年ですからとてつもなく古い話です)、あと思いつくところでは福島の四時ダム(ダムサイトで水が汲める=こちらのページ)、北海道だと‥おっと忘れちゃいけない王者十勝ダムがロックフィルでした(その時のページはこちら)。

あと順番はぐちゃぐちゃですが、自分がお手伝い(&お世話になっている)宮城栗駒の駒の湯温泉、その近隣に位置する荒砥沢ダムもロックフィル式で、かの2008年岩手宮城内陸地震の際はこのダム周辺も激しく揺れて周辺はあちこちで山体崩壊や土砂崩れが発生したのでした(そしてそれに伴い土石流が旧駒の湯温泉旅館を一気に呑み込んだのですから!)。

当時の荒砥沢ダムの湛水部内でもそのような山体崩壊にともない津波が観測されたようです。それでもダム本体は無事だったわけでその強靱さを如実に示したわけでした。

それでも、ロックフィル式のダムは「見た感じではどうも頼りない」というわけであえて質問してみました。

Takema 「どうも『漏れやすい』ように思えてしまうのですが。」
係員さん 「緩やかな石積みは水を溜める堤防というよりは
『コア部の粘土質を上下流から支える頑丈な支え』
だと考えて下さい。不透水層のコア部が耐える限り
ダムは水漏れも起こさず崩壊もしません。」

なお左上画像はそのコア部に充填されている粘土質なのだそうです。これが不透水層として機能するというわけで、森吉山ダムの場合コア部の高さは89.9mもあるのだそうな。さすがに平成も後末期に完成した新しいダムですなぁ。

このあとは「比較的どこのダム広報館にもある」ダムの機能紹介(機械式が多い)ですが、こちらではわざわざ手作業の上で説明して下さいました。


洪水にならぬよう一定の量しか流さない‥ハイわかります。



試験湛水当時の写真も見せていただきました。増水時はもちろん治水ダムとして下流に一定以上水を流さぬようにするわけですが(その場合は下部の常用洪水吐(こうずいばき)から排水)、いよいよの場合は非常用として上部洪水吐から一気に流し、ダム本体を守るというわけです。

試験湛水時における豪雨といえば群馬県の八ッ場ダムが思い起こされますが、実はこの森吉山ダムにおいても同じようなことはあったようで(たぶん左上画像とは別のタイミング)、このダムが評価される一端となったといいます。

さてアナログ系のあとはいま流行りのバーチャルです(あんまり好きじゃないんですが=付いていけない=ジジイ化)。3Dによるこの米代川流域の浸水想定を紹介するものでありました。

ただ、この2週間前に昨日通ってきた秋田市や五城目町が受けた浸水災害の多くはいわゆる「内水面氾濫」、つまりは大河川の氾濫に由来するものではなく「地域に降った水が低地や中小河川に集まり、そこからの行き場をなくして結果的に氾濫を起こした」ものだと理解しています。

その意味で秋田県の治水政策は「河川については正しいが内水面氾濫の対策はまだ不十分」であり、いっぽうで以前九州の人吉市を襲った球磨川豪雨などは「治水政策そのものに間違いがあった」と自分は考えています。豪雨災害を起こす可能性をゼロにすることは永遠にできませんが、それに近づけることは可能です。あ、ある意味原発及び福島第一の事故後の扱いだってまったく同じことですよね。「起きて(やって)しまったことはしかたがない、大切なのはそのあとをどうするかだ」とは、このサイト開設時に自分が妙な座右の銘として書いたことですが(このページ。サイト開設当時(1999)からいじっていません)、



このあとは管理事務所から車にて某所まで移動です(某所手前にて解散なのでわれわれも車で移動)。



その某所入口の扉を開けていただき、このあとはいよいよ森吉山ダムの堤体内部へと入っていきます。うわーい涼しいわぁ(単純な感想)。



階段を下りていき‥おお、いよいよご本尊の奥深くへと向かいます。



エレベーターで一気に堤体地下60mまで下降します♪

途中階のない長ーいエレベーターです。ちなみにわれわれが乗ったことのある「途中階なし最大高低差のエレベーター」は‥あそこですね、来年(2024)から一般開放される黒部の下部軌道-上部軌道へと上がる、トロッコも乗せられる「竪坑エレベーター」ですね。あちらは200mありました(その時のページはこちら)。

なおもちろん「途中階あり」の場合は超高層ビルのほうが高低差はあるのですが、超高層ビルにはほとんど行ったことがないのです。たぶん2023/10に出張で行った大阪のホテル近くにあった大阪府庁舎咲洲コスモタワーくらいなんじゃないかなぁ。あれだと1Fからエスカレーター乗り換えの52階まで210mあるみたいです。あれちょっと待てよ、あちらも「途中階での停止選択肢設定はない」エレベーターだった気が。というわけで咲洲のエレベーター画像を確認してみると‥




(でもたぶん非常時に乗降できる階はありそうな気が)

ま、そんなことはどうでもいいので先を進めます。まずは放流ゲート室へ。



階段を下りた先にゲート室があります。森吉山ダムは治水のほかに灌漑や上水道、さらには発電も目的とした多目的ダムであり(先ほど船に乗っていた森吉ダム(太平湖)は発電メイン+αで治水)、たとえば灌漑用水などは季節によって需要量が大きく異なるため、ここで放流量を調節しているというようです。もちろん渇水時や異常増水時に洪水吐だけでは安定排水が出来ない場合などにもバルブ操作で放流量を調整します。

右上画像の鳥瞰図を見ると副ゲートと主ゲートとの2つのバルブが並んでいます。これはやはり非常時の対策ということなのでしょうか。一度設置したらもう「後から追加工事」とはいかないでしょうし。





放水流はこのゲート室の真下を通っているはずですが、当然このゲート室とは密閉された状況にあるわけですし。ところでこのような設備の設計耐用年数っていったいどれくらいなんだろう?(このゲートバルブでは、密閉性は高いが早目の劣化が避けられないゴムをあえて使っていないということのようです)。なお、バルブには一部に切れ込みが入れられており、通常では放流量がゼロになることはありません。

このあとはすぐ近くの管理用発電機室へと移動するわけですが‥。




(さすがに点滅したりはしていませんでしたが)

と、ここで案内係員さん「もしよろしければお写真をお撮りしましょうか?」とのまさかのガイドさんサービスにて、終点部分にてお願いした次第です。




(Takemaの頭部もね)

おそらくは案内係員各氏には「案内中ここで記念撮影をすべし」というようなミッション指示もなされているのでは‥いや、そんなことを想像するのは無粋ですよね、いい写真をありがとうございました。それはともかく、いかにデコレーションしても左側に見えている「まごう事なき業務用のスイッチ&配線ライン」とのミスマッチはいいですね(笑)。

このあとは発電室へ。森吉山ダムでの発電は主に東北電力が請け負っていますが(最大11200kW)、こちらではその他に「自貯自消」たる自前の発電設備(同470kW)を確保しています。いわゆる「ダム設備維持のための電源」であり、この電源設備が非常時に機能するか否かは給電エリアである秋田県北部在住の方々の生活とも密接に関わってくるわけです。



しばし歩いて発電室前へ。職員の方の移動用に自転車が停められているのがなかなかいい感じです。堤頂部のロックフィル部分の長さが786mということですからその内部の基礎監査廊だって同じような距離があるでしょうし、確かに自転車での移動は効率的でしょう。やっぱり乗車中はライトオンなのかな?(どうでもいい話)。

ちなみにこのトンネル内に半身を見せているパイプラインには「東北電力 森吉発電所水圧鉄管」と記載されていました(左上画像マウスオーバーで拡大画像に変わります)。いただいた地図にも、さらに下流側に発電所があるという旨の記載がありました。しかし、なぜ「半身だけ出ている」のでしょうかね。長期的なメンテナンスを考えてのことでしょうか。

さて係員さんが専用ドアから内部に入り、シャッターを開けてくださいます。「開けるとうるさいですから」とのことで先に内部の発電機について説明して下さったのですが、その後の轟音にかまけて記憶まで吹っ飛んでしまいましたので細かな説明はなしです。それではここでここまでの動画をね。










水力発電の発電機って大型のものを(ほぼ写真でしか)見たことがないのですが、たぶん右側画像が発電機(の上部)なのでしょう。お釜のような形状の左上画像ですが、接続されている鉄管の径が明らかに太いので、あちらは東北電力行きの発電用水に関する計測機器なのかも知れません。



上のほうで「轟音」と書きましたが、その音の発生元は足元にありました。管理用発電機を通り抜けた水が足元数m下で怒涛のごとく暴れまくっていたのでした。その水量は最大で1.3立方メートル/秒だといいます(この場で聞いてもいたのですが、具体的な数値をすっかり忘れていたのでいまネットで調べました)。

さて、コロナ禍以前は基礎監査廊の方面も見学できたようなのですが、現在の見学はこれでおしまいです。でも無料でこれだけ案内していただけることに感謝しなければ。



来た道を戻り、再びエレベーターで上がって外へ。それにしてもこんな変哲もないドアの向こうに地下施設が長く延びているとはびっくりです。

さてこちらで解散となりましたが、せっかくなので今度は堤体上部を少し歩いてみることに。しかしこの時間になるとドピカーンの真夏の太陽が照りつけており、Takemaとしては頭頂部の日焼けを避ける意味でも(苦笑)、「半ばまででいいや」という気持ちに(何せ片道768m、往復すると1.5km以上ありますので)。おしんこどんは行きたかったことでしょうが‥。







ちなみに工事関係者の方以外誰もいませんでした。当然か。



向こうには広報館と管理事務所、取水塔が見えています。ん?この小屋は?



「堤体観測所」でした。ダム堤体の歪みをミリ(かセンチ)単位で常時観測しているものと思われます。なおまず間違いなく無人の施設だと思いますがエアコンの室外機は元気よく稼働しておりました。いわゆるデータサーバー室でもあることから温度管理が必要なのでしょうね(幸い電力については自前なのでコストはかかりませんし)。

なお前年のことでしたがダム堤体に熊が出没したようです。それにしてもなぜあんなに目立つ(まったく隠れる場所などない)ところをうろうろしていたのだろう?

ところでここ森吉山ダム(四季美湖)の建設に伴い、当地では14の集落が湖の底に眠ることとなりました。各集落にあった神社や先人が建立した石碑などは全て一箇所(「十四合同神社」)に集められました。今回は立ち寄れなかったのですが行ってみたかったなぁ。そういえば、1990年台後半に自分はここをバイクで走ったことがあったのです。記憶は断片的ですが、まだロックフィルも築造されていませんでした。各集落(計200戸)の移転は1996年に完了したようですが、たぶんその直前あたりではなかったかなぁと。

このページを作るにあたりあらためて調べてみると、ダムを築造した国土交通省東北地方整備局が、この神社のみならず移転住民の故郷(ふるさと)に対する思いを尊重する施設の整備や企画(お祭りやコンサートなど)を開催していることを知りました。YouTubeにもオリジナルのダムソングである「四季美湖物語」がアップされていたので以下で紹介します。それにしても「ダムカード」はともかく「ダムソング」もあるんだ。そのうち「ダム娘」も出てくるんじゃないか?(擬人化はとっても難しそうですが(大笑))。

なお移転した各村落に関してはこのページが詳しいですのでご一読あれ。

さてそんなわけで森吉山麓から移動しましょう。あ、でもお昼ごはん食べてない‥でも近隣にはしっかり食事処がありますので大丈夫。



営業時間も15:00までだと知っていたので実はこの時点では余裕のよっちゃん酢漬けイカでありました。しかしですね。





この看板を目にした瞬間は、「美味しい洋食ぱくぱく」から一転して「お昼ごはん難民」たる奈落へと突き落とされた感覚を抱きましたよ。

しかし阿仁地区は大きくないとはいえこの地域の中心部です。とすれば他にも食事処があるのでは?というわけでこれまで通ったところのない旧国道を進んでみました。こういう時に「まずネットで検索」ではなく「まずは進んでみる」というのが昭和中期世代である自分のアナログ行動ですが、これって結構アタリを引くことも多いです。というかネットに(ほとんど)出ていないお店って結構ありますし(この後に利用するお店は出ていますが)。




(言語の乱れはお許し下さい)



うむ、『定食屋の定食屋たる基本』を網羅しております。



でも、このそれぞれが気になります。このお店の気概に乗りまして‥





ええっと、ご想像の通り?無難っぽくみえる冷やし中華はTakemaが、そしてチャレンジングな冷やしカツ丼はおしんこどんが注文しました(手打ち餃子は分け分け)。冷やし中華はオイシカッタ。手打ち餃子も同様です。さてそうなると気になるのが変わり種メニューの「冷やしカツ丼」ですが?

ごはんに冷たい出汁をかけ、そこにアツアツのカツを乗せ、さらにその上に大根おろしを乗せている(トッピングは青菜と梅果肉)という感じです。これならソースは不要ですし、天ぷら蕎麦などと同様出汁でトンカツの衣もふやける&ふやけていない部分のサクサクとの食感の違いも楽しめます。

近年は全国各地で増えているメニューのようですが(トッピングは卵の黄身である場合が多いようです)、この基本レシピはありだなと思いました。夏限定は冷やし中華のみにあらずということで!

やや遅めの昼食後は北上です。とはいえこの界隈でもまだ未入浴の施設はたくさんあり、今回は湯ノ岱温泉に立ち寄ることにしました。



ええっと、空いていそうですね。さすが平日の午後ど真ん中!

しかしわれわれが入場しようとしたところで管理人さん自らが出てこられました。そしておっしゃることには、





うーむ。一瞬(だけ)躊躇しましたが、おしんこどんの「入ってきなさいよ」との言葉に背中をすんごい力で押された(ような気がした)のでお言葉に甘えることに。おしんこどんはその間休憩室(冷房中)にて待機ということになりました。管理人さんと話していたのかな?





まぁこればかりは仕方がないです。お湯の素性はナトリウム・カルシウム-硫酸塩泉で、源泉温度が低いため(31.6度)加温されていますが循環はなく掛け流されています。この日は気温が高かったため浴槽内湯温も抑えめで、硫酸塩泉系温泉にありがちな「きっちり感」(微妙な表現ですが)はほぼ感じず、逆に柔らかさを感じたほどでした。

このあとはいよいよ青森入りです。前年(2022)と同様「青森ねぶた」の時期に北上してしまいました。前回は八甲田山中にてお祭りそのもの&混雑を回避したわけですが(こちら)、今年(2023)はどうしたのでしょうか?それについては次ページにて。

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