- その2 湯っくり湯治とホタル観賞、翌朝はアンモナイトセンターへ -





(2024年6月14-16日 その2)

さて田村屋さんには15:00過ぎの到着となりました。チェックインタイムのすぐあとでご迷惑かなと思いましたが、あとで調べてみたらチェックインは14:00からだったようで、全然問題なしでしたね。



二間続きの二号室は快適そのもの!

通されたお部屋は二号室、「いつものお部屋」で二間続きのゴージャスルーム(8畳+10畳)。ちなみに食事は別室(個室)でいただきますので、部屋は完全にプライベートユースです(もちろんお掃除とかは入りますが)。なおこちらのお部屋部分はエントランス部とともに震災後しばらくしてから新築されています。だからリフォームとは違う安定した落ち着きがあるのです。まだピカピカですよ。

以前にも書きましたが、自分たちが初めてこの部屋に泊まった(2017/1)あとの拙旅行記(このページです)を見たわたしのいとこが、両親(つまりわたしの伯父伯母)を連れて3人でこちらに泊まったのだそうで、チェックアウト時に伯父伯母は「これだけの部屋と設備、それにこれだけよくしてもらってこの料金なんて!」とびっくりしていたそうです。2024現在は物価高騰により少々値上げされていますが、それでもC/Pは高い!(上記料金は今後も変動する可能性がありますので詳しくは田村屋さん公式サイトで確認して下さい)。(自分はいつも電話予約なのでチェックしていませんが)。



さて部屋に入ったあとは早速お風呂へ。分類的にはアルカリ性冷鉱泉の沸かし湯であり循環もしているのですが、塩素系薬剤は清掃時にしか入れていないそうです。わずかに塩素臭を感知したこともありましたが問題にならない程度ですし、カランの湯も源泉利用です(今回はなぜかシャワーが稼働しませんでしたがTakema的には問題なし)。

成分としては炭酸イオン及び炭酸水素イオンが突出しており、それゆえのツルヌル感なのかと思われます。そしてpHは10.1の高アルカリ泉です。いわき北部の鉱泉はどこもツルツルの浴感ですが、やはり強アルカリ泉が多いですね(もう何軒も廃業してしまいましたが)。





この時点ではまだそこそこ腫れていて足首の太さからして全然違ったわけですが、すでにテーピングによる軽い固定になっていましたし、この1週間後にはそれも外す許可が出て「あとは頑張って歩いてね」という感じになりました。手術はしていないのでリハビリもなしでした。

ただ、このページをタイプしている2024/7中下旬ですが、熱こそ持っていないものの足首太さはこの時からあまり変わっていないような気がします(足首の太さは右足の1.5倍近くあります)。日によって違和感やピキ系の痛みの強さは違いますが、やっぱり骨折となると半年くらいのスパンで考えないといけないのかもしれません。ただ負担がかかっていたはずの右半身あちこちの痛みはなくなりましたが。







湯上がりには2人とも我慢できず生ビールを注文。
ちょっと喫煙所で撮影。左右の足首、太さが違う。




湯上がりには庭を少しだけ歩きましたが、鶴のオブジェを見つけて「え、谷地温泉の発見とか由来には鶴の温泉養生が絡んでいたんだっけ?」と思って調べてみたのですが、特にそういう由来はないようです。すでに創業100年を越す田村屋さんですから、やはり常磐炭砿絡みの湯治需要があったのかなと(作業員諸氏は超重労働だったはずですし)。

もしそうだとすると、偶然とはいえ「東日本大震災後における作業員さんの受け入れ」も谷地温泉としての歴史的必然というか再来だったのかも知れません。田村屋さんには主に東電広野発電所復旧のための作業員さんが長く滞在(宿舎として)なさっており、その頃訪問した自分が若旦那にうかがったところ、「もう、家族同様ですね」とおっしゃっていましたっけ(この時です)。

前にも書きましたが谷地温泉のもい1軒のお宿である石川屋さんは現在も復興作業会社の借り切り宿舎となっており、一般客の受け入れはない状況が続いています。ただ谷地に初めて訪れた(入浴した)のは石川屋さんでしたし、何度かよくしていただいたんだよなぁ、なのにお礼も言えていないぞというわけで(以下後述)。





こちらに泊まると間違いなく注文している「お飲みもの」は「日本酒三種飲み比べセット」なのですが、そのセットを2人前お願いすると「六種のお酒」が供されるというわけで、ご覧のように「実に飲み比べ甲斐のある」味わいセットなのであります。

いずれも福島県内のお酒ですが、この夜におけるおしんこどんのThe Best ofは古殿町の「一歩己(いぶき)」、Takemaは会津若松の「花春」でした。




当然ですが、熱いものは熱々で登場します。カツオ刺身ですが、1枚が1.5枚分くらいの厚みで切られており、そしてその真ん中の背の部分には切れ目が入れられています。そこに‥



初めての頃は少々遠慮がちに挟んでいた記憶がありますが、もう慣れましたんでトッピングのニンニクはぜぇんぶ使い切って食べました!(代わりにショウガがちょっと残った)。

それはいいのですが、近年Takemaの少食人種ぶりはその度合いを増しているらしく、鰻の炊き込みご飯がほぼ食べられないというていたらくでした(それでも鰻はだいたい食べましたが)。実はいつも予約時に「夕食の量を少なめに」とお願いしているのですが、それでも食べきれないとはなぁ(残念無念だし申し訳ない)。

というわけで夕食終了、部屋に戻って寛ぎ&飲み直し‥と思いきや、このあと「この時期ならではのイベント」が待っています。それは‥



これまで田村屋さんに泊まったのは冬から春(~GW)にかけての時期ばかりだったのですが、以前ご主人が「この宿近くでは6月になるとゲンジボタルが舞うんですよ」とおっしゃっていたことを忘れてはいませんでした。予約時(6月第1週)に確認してみると、「例年は6月第3週の末頃が見頃なんですが、今年は気が早い個体がもう飛んでいるのを見ました。2週目末ならそこそこ大丈夫だと思います」とおっしゃっていたので期待していたのです。




それでもまだ早め時期だったからかちらほらという感じでしたが、最盛期にはそこそこ見応えがあるくらいになるそうです。ちなみに連泊だったのでこの翌日も見に行ったのですが(お宿から歩いてすぐなので)、気のせいか次の日のほうが少し数が多かったように思います。なお右上画像マウスオーバーで、「なぜか路上から飛び立とうともせず光を放っていたヘイケボタル」画像に変わります。なぜ1匹だけヘイケ?

というわけで2日分の動画なのですが、そのまま流すとあまりに冗長なので編集してあります。ゆえにほぼ切れ目なく蛍が飛んでいますが、出始めですし実際は実際はもっと少ない‥ということをご承知おきください。




ちなみにご主人および若旦那さんからは次のようなことをうかがいました。

* ここに出てくるのはほとんどがゲンジボタルです(ヘイケも少し)。
人為的に放たれたものではなくすべてこの地域の在来生息種です。
* この場所は休耕田で、その水路で育っています。農薬成分などの
流入もないから安定して育っているようです。宿の前の小川は流れが
急すぎるので生育には適していません。
* 蛍の放つ光は、成虫になったばかりの時が一番明るく、日を追うに
つれて暗くなっていきます。今はまだ出始めだから明るいですね。
* 昔は石川屋さん(田村屋さんのすぐ上)の近くでも育っていたのですが、
あちらの方はいなくなってしまったようです。

ちなみに道路脇でホタル見物をしていたところ、下から1台の車が上がってきました。ご主人の姿を見つけて停車し、車から出てきたのは石川屋さんの女将さんで、「ホタルを見ているんですよ」と(ご主人が)説明すると、「あら、ここにはまだいるのね」とちょっと驚いたような感じでした。ご存じなかったようですね(地元民あるある系でしょうか)。



さて、明けて翌朝もいいお天気。ん?庭にネコが。



あれれ松の木によじ登り‥休息。ルーティン行動?



朝ごはんもいい感じ。アサリのお味噌汁が具沢山♪



この日は連泊なので荷物をまとめる必要もなくのんびりです。朝食後は少し宿周辺を出歩きます。

まずは「ホタル観賞会場」へ(左上画像)。こんな場所だったんですね・ごく普通の田んぼ圃場ですが、6月中旬にもかかわらず稲の姿はなく確かに休耕田ではあります‥が、明らかに今シーズンに入ってからトラクターによる整備というか圃場の維持管理がなされているようです。荒れて使えなくなるのを避けるため、定期的に手を入れているのかな。

ふと思い出したのがいわゆる「帰宅困難地域」(この言葉は好きではありませんが)の田畑です。何年も放置され、気がつけば灌木すら生えてしまっていた田畑でしたが(常磐道及びR6沿いしか見られてはいませんが)、もうずいぶん復活してきましたね。もちろんそれは地元の方々による、それこそ「汗水の賜物」だと思います。まだまだいろいろあるとは思いますが、秋、黄金色に色付いた田んぼを目にしたいな(秋はお仕事繁忙期ゆえなかなか出かけられないのですが)。

話を戻して右上画像の石川屋さんです。いまや「谷地温泉田村屋さん推し」を公言してはばからないTakemaですが、その初訪問は東日本大震災後でありました。震災前は石川屋さんに日帰りで複数回おじゃましていたわけです。

震災後に石川屋さんを訪ねると、「今は作業員さんたちの宿舎になっているから一般の方の入浴はできないんですよ。あ、そういえば下の田村屋さんは日帰りを再開したと聞いているのでもしよろしければ‥」。そう、このお言葉こそが現在に至る田村屋さん詣でのきっかけでありました

しかも、車に戻ろうとしたわれわれに自家製のパンまで渡してくださったあのご親切に(その時のページはこちら)。‥しかしあのあとご挨拶ひとつしてこなかったことがどうにも気にかかり続けていたわけで‥今回、ようやく当時のお礼を申し上げることができました。石川屋さんは2024/6現在も復興担当企業による借り上げが続いており一般客の利用はできませんが、「でも、震災後しばらくの頃に比べればすっかり落ち着きました。マイペースでやっていますよ」とのお言葉もあり何よりでした」。

というわけでこの日は「あくまで湯治滞在なので」遠出はせず、いわき市内をちょこちょこと巡ることに。ま、「ちょっとハードなリハビリ」はありましたけれど?(笑)。まずは直近のこちらへと。



いわき市アンモナイトセンター。お宿からはまさに数分の距離なのですが、はるか昔に訪問したきりでおぼろげな記憶しか残っていなかったので(おしんこどんは訪問したことすら忘れていました)、まぁリハビリってことで(関係ない)行ってみたわけです。

取り付け道路の入口には係員さんが立っていて、「発掘体験(のためのお越し)ですか?」と。そう、こちらでは週末にそのような催しが開催されているのです。発掘といえばおしんこどんですが(謎)、自分はこの時まだしゃがみ座りができない状況だったので最初から参加するつもりはありませんでした。

駐車場にはすでに車がそこそこ駐まっており、ナンバーを見ると結構遠方からのお客さんが多い様子。そんなに有名&人気があったのか発掘体験!(ちょっとびっくり)。というわけでわれわれはそのまま館内見学です。





こういう展示法、どこかで見たなと思ったら‥2022の夏に津軽の田舎館村で「田んぼアート」のお隣にあった文化財センターがこれでした。「弥生時代の田んぼ跡をそのまま覆う造りだったわけでした(この時です)。この展示スタイル、なかなかにリアルでいいですね。








(右上画像マウスオーバーで拡大画像に変わります)



見学を終えて外に出てみると、建物のお隣に「発掘作業の現場」がありました。同じ地層が続いているんですからそりゃ「大物」もヒットする可能性があるわけですし、そもそも出ても出なくてもなかなか楽しめそう。



展示中の産出化石。そうか、「BIG1」が出なくても小さなものはそこそこ出るということなんでしょうね。それにしても「手を触れないでね」とはありますがこのエリアは完全無人で、ここに来る人はいい人ばかりと信用されているのでしょうか?ちなみにさらに小さな破片については「お持ち帰りOKコーナー」もありました。理科の先生とかだったらびっくり小躍りしちゃうんじゃないでしょうかね。何しろ「レプリカではない現物」ですからね。

さてこのあとは少し遠くまで行きましょう。とはいえいわき市内ですが、そもそもいわき市ってとてつもなく広いんです!平成の大合併の前までは日本でもっとも面積の大きな市じゃなかったかな。

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