その2 松之山から秋山郷(和山)、湯ったり。



鳥甲山も雲の中。うーん残念。

(2025/11/1-3 その2)

さて時間的にはまだ余裕がある中R405を南へと進んでいきます。久々に見玉不動尊に立ち寄ってお漬け物とお茶でもいただこうかな、あとはとち餅とか‥と考えていましたが、それよりまだ全然手前のあたりで、何やらの幟旗がはためいているのが目に入りました。





基本的に「このあたりには特段のもの(見どころ)がない」という認識だったので、この「うもれあ」が気になったのは言うまでもありません。ただ国道沿いにもところどころ定期的に立てられていたので農家カフェとかの私的施設ではなさそうだと思ってはいました。というわけで行ってみましょー!







それにしても立派なRC造の旧校舎です。昔の生徒出入口は封鎖されていて奥から出入りするようになっていました。ん?「オープン」とありますが開館は最近なの?(それなら幟があちこちに設置されていたのもわかります)。あとで職員の方に聞いてみると「10/18にオープンしました」とのこと、何とまだ開館から2週間しか経っていなかったわけです。



館内の各部屋(元教室)にはいろいろと出土品(または復元品)が展示されておりました。何でもここ津南町には国指定の遺跡である「沖ノ原遺跡」をはじめとしたいくつもの縄文遺跡があるそうです。今も冬は雪と格闘するこの地域に生活の基盤を置いた縄文人の方々、冬はどうやって過ごしていたのでしょうか。この奥の秋山郷では江戸時代でさえ「雪に閉ざされた集落に春になっていってみたら皆亡くなっていた」という痛ましい歴史があるというのに(「北越雪譜」)。





文化財関係の仕事をしているおしんこどん(パートですが)には興味深い施設の訪問となったようです。ただ個人的には「真面目すぎる」感がありました。別に映像機器設置とかお金がかかる設備(十日町市博物館のように)はなくてもいいですが、クイズ形式のお楽しみポイントとかがあってもよいように思います。

でも入館無料でこれだけの展示はすごいなぁと。オープンしたばかりでしたし、ここからが学芸員さんたちの腕の見せどころなのかなと思います。

おしんこどんはお土産コーナーで何やら購入しておりました。ではでは先というか奥というかさらに南へと進んでいきます。





まぁ予報通りなので仕方がないのですが(予定をずらすわけにもいかないし)、やっぱり春の桜と秋の紅葉は「晴れてナンボ」の世界かなと思います。あと数年したら自由に出かけられそうかな‥。

そういやその昔の30歳前後の頃は「北海道ツーリング2週間以上!」というような、今考えれば信じられないような労働環境に身を置いていたわけで(今も同じ仕事ですがさすがにそんなには休めない)、あの頃はテントで朝を迎えると「今日は1日雨かぁ、よし停滞決定!」という感じの中、多くのライダーさんが合羽を着込んで出発していくのを目にしつつ朝酒にいそしんでいたこともありましたっけ(苦笑)。

さて話を戻して秋山郷です。前にも書きましたが秋山郷に来るのはなぜか勤労感謝の日絡みの連休が多かったのです。そうなるともうオフシーズンというわけで、いろいろな道路や施設が閉鎖されておりあまり楽しみの選択肢もなかったわけですが‥今回はまだバリ紅葉シーズン中!









たぶんこちらに立ち寄ったのは相当昔だよなと思って確認してみたら、最後の訪問は2008年でした(この時です)。でもこの時の旅行記を見ると、何と当時は勤労感謝の日あたりまで営業していたことが判明しました。しかし、なるほど当時も「連休なのにガラガラ」だったがゆえに冬期閉鎖の時期を早めたということなのでしょう。

先客さんの車が2-3台あり、こりゃぬる湯だし湯画像は無理だと思っていたのですが(ちなみに撮禁掲示はなし)‥









なお男湯の先客さんは「勝手知ったる常連」系のお2人で、お1人はずっと浸かりつつ常時目を瞑り湯縁に頭を載せて不動の態勢、もうお1人は湯に浸かりながら文庫本を読んでいるという方でありました。体感湯温は栗駒駒の湯と同じか微妙に低いかな?駒の湯は投入量の勢いがあるので浴槽内に湯の動きがあり、浸かってしまえばあまりぬるさを感じないんです。こちらは浴槽が大きいからなぁ(そこそこの投入量ではありますが)。

ちなみに自分の入浴中はこの先客お2人だけでいたって静かな湯浴みでした。ただ、自分が身体を拭いて上がろうとしているときに2+1+1人が相次いで入ってきまして、脱衣場からでも「賑やかな浴室」になったことを耳で確認しました(笑)。セーフ!



さて湯上がりに通路からのぞいた湯の排出口はなかなかの色合いに染まっていました。もう少し析出成分がてんこ盛りになっていると気分も高揚するのですけれどね、古遠部温泉とかみたいに(笑)。

場所柄あまりお米の作付けも行われていないであろう秋山郷ですが(そもそも平地がほとんどない)、施設のすぐ下にはしっかりはぜ掛けされた稲の束、そしてその奥には鳥甲山が中腹まで(胸下あたりまで)姿を見せています。太陽が顔を出してくれていたらこれもかなりの絶景だったと思うのですが、ま、しゃーないということでさらに先へと進みます。




(これでも太陽が出ていれば映えるはずなのに‥)

で、このすぐ先に「鳥甲山展望台」とやらがあるというのでちょこっと進んでみることに。この道自体は前回も上がりましたが(この時です)、時期的には3週間後だったこともありこの先は雪道になっていてパスしたわけでした。今回は雪も凍結もないので問題なし。



2台ほど(しか)駐められる駐車場というか道路脇のスペース(未舗装)に車を駐めてここからは歩き‥遠いのかなと思ったらすぐ一段上で、お立ち台ならぬ展望デッキも整備されていました。右足の踏ん張りにイマイチ不安を抱えるTakemaとしては安堵安心です。さて景色は‥





もちろん鳥甲山が見えていればさらに綺麗というか絶景だったでしょうが、午後も少し遅くなってくると山の東側斜面には陽が当たらなくなってしまうので、ここで展望を楽しむのであれば午前中の一択でしょう。そしてさらに切明方面へと進みます。




(でも谷あいはもう日陰なのでいい絵というほどでも)

さてそこそこ進んできましたが、この先は集落も多くはありません。秋山郷最奥部の切明温泉、以前には「雪あかり」(この時)と「雄川閣」(この時)に泊まりましたが、雄川閣は2025シーズンは休館だったのかな?「リニューアルのため」という情報もありますが、ちょっと心配です。

でも今回のお宿は切明ではありません。屋敷の秀清館でもありませんし、和山の仁成館はもうずいぶん前に廃業しちゃったし(ただししばらく入浴のみはできたので、そのタイミングで入浴させてもらった時のページはこちら)。

しかし今回事前に調べていた時に、まさかのお宿情報を発見していたのです。



そうなんです。以前からかなり気にはしていた民宿があったのですが、温泉がないということで宿泊目的地としては考えていなかったお宿、それは‥。




(右上画像は宿到着後に撮影した移転前の印です)

以前はここ秋山郷でもかなり奥地にあり(しかも一軒宿)、行くのは確かに大変だったようです。廃道探索サイト運営のあの方も、目的地探索前に思わず以前のもっきりや探索に進んでしまわれたようですし(笑)。











以前民宿だったお宅を買い取り、手を入れて2023年にこの地で再開業したようです。以前の宿は和山集落からだと直線距離で500m足らずなのですが、その間には群馬県最北部の野反湖から流れ出す中津川があって橋もありませんから切明経由の大回りを余儀なくされ、さらには細道を終点まで進む必要があったわけです。もともとのキャッチコピーが「来るなら来てみろ」だったのもそういう理由からだったのでしょう。

ちなみに旧施設は現在「人力冒険小屋 奥の奥」となっているようです(グーグルマップで表示されます)。

なお、現もっきりやのお隣には比較的大きな民宿が看板を掲げていますが、もっきりやご主人によると「和山集落にあった民宿はみんな閉めちゃってね、いま泊まれるのはうちだけだよ」とのことでした。うむぅ、集落自体も「限界」化しているのでしょう。

さて、落ち着いたあとはお風呂です。新施設になってかけ流しの温泉民宿となったわけで、当然お初の入浴なので心が高ぶります。



浴室は1つだけなので貸し切り利用となります。利用時には左上画像の札を裏返して他のお客さんに示すわけですが、何でもこちらのお宿、最大宿泊人数は「3人」(!)とのことなので、そうバッティングすることもなさそうです(われわれはバッティングしましたが)。ちなみに部屋は3つありました。

ではではいざ!





透明湯がかけ流される浴槽は3人同時に入っても余裕の大きさで、失礼ながら栗駒 駒の湯の浴槽よりもぐんと広いです。湯は‥やや熱めに感じましたが、身体が冷えていたせいもあるのでしょう。入っているに従って適温に。湯ざわりは特にツルツルというわけでもなくあっさりとした浴感です。

泉質はカルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉で、源泉温度は55.0度。源泉名は「新湯ノ沢温泉」とのことですが、実はこのページをタイプしながら調べていたところ、この「新湯ノ沢温泉」、実は「のよさの里」と「ヒュッテひだまり」にも配湯されているようなのです。

以前「のよさの里」には入浴しましたが、あちらの温泉名通称は「上野原温泉」でしたし、実はまだ未湯の「ヒュッテひだまり」の通名は「栃川高原温泉」。つまりは集落(地)名を冠して温泉名としているわけで、そうなるともっきりやの温泉通名は間違いなく「和山温泉」と考えて間違いないでしょう。こういう場合、Takemaとしては別湯としてカウントしております。とはいえ旧仁成館の湯とは別物でしょうから新規湯一湯ね(笑)。



シャワーは配管を見れば明らかな後付けだとわかりますが、上画像にあったとおりこのシャワーは水しか出ません。洗い湯は右上画像の湯桶から汲むようにとの掲示が(英語で)書かれていましたが、夏でも涼しめの秋山郷で水シャワーって‥



と邪推しますが、確認したわけではないので真相は不明です。でも駒の湯でもそうだったしなぁ‥(浴室に水道が引かれている)。



宿の中にはこんなサボ(行き先板)も。左上は都電かなぁ。

さてこのあとは夕ごはん、飲み物の持ち込みは自由です。で、間違いなく撮影したはずなんですがなぜか画像が残っていません。仕出し系のお弁当箱にトンテキをメインとするおかずとごはん、ごはんはおかわりができるようにお櫃も出されており、他の男性1人とともに卓を囲みました。

この方は自転車ツーリングで来ているそうで、翌日は切明から雑魚川林道(林道秋山線)経由で野沢温泉方面の走りを楽しむのだとか。なるほど、雑魚川を上がるとなると自分としては志賀高原に抜ける道という感覚があるけれど、そっちにも抜けられるんだったっけ。この時の自分はこのくらいしか考えていませんでしたが‥(後述)。



さて夜も更けてきた頃、自分はちょっとご主人に用事があって(何の用事だったのかは忘れました)階下へ。食事室ではご主人が晩酌の真っ最中で、気がつけば一緒に(ご主人の)お酒をいただくことに。われながらこういう場にすっと入り込み馴染んでしまうのはある意味特技かも(笑)。

あまり詳しくは書けませんが、ご主人は栄村の出身ではなく首都圏方面からの移住者なのだそうです。で、20年以上この界隈で暮らしてきたそうですが、やはりお年を召したこともあり「この民宿も、やれるまではやるけれど」とのことでした。「宿泊は3人まで」というのも、それ以上になるとワンオペゆえ準備も大変だからということのようです。

なおこちらのお宿では日帰り入浴も可能だそうで(500円)、時間は特に決めておらず「自分がいればいつでもいいよ」とのことでした。それはいい!(でも案外日中は不在のことも多いかもしれません)。



明けて翌朝。この日も曇りベースでしたが、ところどころ雲の切れ目から朝日が差し込んだりして前日よりは少し良さそうなお天気です。



和山の集落からは鳥甲山が一望‥いや、やっぱり頂上部は雲に隠れています。でも朝日に照らされた紅葉が綺麗だなと思いつつ朝ごはん。適量で美味しくいただきました。





ちなみにこの時(2025/11)の宿泊料金は、このご時世にしての6,500円(二食付き)という驚異の料金でした。ありがたい‥。

というわけで出発‥しましたが、和山集落上部に公民館のある広場があったので、ちょうど展望台的な場所ゆえそこから景色を眺めることに。







これはもう、このあとはスッキリしゃっきりスカイブルーになるのではと期待させる空模様でしたが、残念ながら雲もなかなかしぶとくてですね(苦笑)。

さてメインロードに戻ったあとは「とりあえず最奥まで行ってこよう」との考えから切明温泉を目指しました。















橋のたもとにはしっかり「もっきりや」の案内が。

ところでここ切明温泉には3軒の宿があるのですが、そのうち一番目立つ場所(道路沿い)にある「雄川閣」は、2025年度シーズンの営業はなく全面休業でした。というのも、この宿は栄村の所有のようなのですが、2025シーズンを前にして指定管理者が選定されず(できず?)、営業に至らなかったようなのです。

村は今後売却も視野に云々とあり、また別サイトには「リニューアル中」との情報もありましたがどうなんだろうなぁ、工事の気配は全然なかったし、そもそも冬期営業が困難なこの場所での営業を希望する民間業者が出てくるかどうか‥。

いずれにせよ、このまま雄川閣が長期休業のままとなるのもしのびない‥最後に宿泊したのは2023/11下旬でしたが(この時です)、あの時の「ほぼ貸し切り湯(同宿は1名のみ)」と夕食の「ジビエ3種しゃぶしゃぶ」、楽しかったし美味しかったよなぁ。

さてそれではそろそろ来た道を戻る‥つもりで切明に来たのですが、紅葉の美しさと期待できそうなお天気模様とでTakemaの心中に「新たな野望」がふつふつと。それはつまり‥



というわけでソッコーで方針変更です。とはいえ国道経由で津南に戻るのよりもかなり遠回りだし時間もかかるはずゆえ一抹の不安はあります。この日はこのあともう1つ「大物系の山道」が控えていますんでねぇ。

まぁいいや、行っちゃえ!というわけでこの続きは次ページにて。

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