− その2 鉱山見学後お宿へ。お酒のアテには何と地元のジビエが(笑) −



やって来たのは、まさかまさかの尾去沢鉱山。体験坑道に入ります!

(2017年2月25.26日 その2/4)

今回の旅行計画を立てるにあたっては花輪線と秋田内陸線を乗りつぶすというのが主眼でありました。しかし、この界隈って正直言って「観光地」ではほぼないわけで(角館を除く)、そうなると「どうやって空き時間をつぶすか」という点も大きなポイントとなってくるわけでした。自前の足がないので駅からそう離れていないところに何かないかと調べていたら、この尾去沢鉱山がヒットしたというわけです。

どうやらほぼ年中無休に近い感じで営業しているということ、そしてメインは地下なので天候の影響を考えなくていい&かえって外より温かいんじゃないかと思われたこと。そんなわけでタクシーでやってきたというわけです。料金は2000円ちょいでしたが許容範囲としました(冬季加算料金込みなので夏ならもう少し安い)。



「尾去沢鉱山までお願いします」というと、さっそく「ではこちらをどうぞ」と割引券をいただいちゃいました。どこも経営は大変なんだからと考え正規料金を払う気だったのですが?地元でいただいちゃったものは使わなきゃね(笑)。

運転手さんは地元鹿角の出身でいろいろと話してくださいます。「ここにね、小学校があったんですよ。で、その山の斜面にはずらりと鉱山住宅が並んでいてね、学校も1学年300人いて、とにかく当時は栄えてましたよ」「あの煙突のあたりに精錬所があって、でもやっぱり扱っているものがものだけに、このあたりの山は軒並みハゲ山になっていましたよ」等々。

調べていくうちにわかったことですが、この鹿角、小坂、大館、そして阿仁界隈を含む北鹿(ほくろく)エリアはどこも鉱山で栄えたエリアなんですね。小坂には今に残る芝居小屋もありますし(詳しくはこちら)。

ただそれは裏を返せば間違いなきモノカルチャー企業城下町であり、鉱業の衰退後、それに代わる産業が生まれなければそのまま地域の衰退に直結というわけです。小坂では製錬の技術を生かした都市鉱山のリサイクル事業も行っているようですが、やっぱり地域経済を担うだけのパワーはなさそうです。なかなか難しい話だよなぁ。



入場料は1000円なので2人で200円割り引いてもらっていざ入口へと進みます。右上画像マウスオンで表示される経産省の産業遺産プレート、初めて見たのは黒部の仙人ダムだったよな(その時の様子はこちら)。なお入口には扉が設置されており、あー、何だか南大東島の星野洞を思い出しちゃいました(星野洞についてはこちら)。そういや2015には佐渡の金山にも行ったよなぁ(佐渡金山はこちら)。

とまぁ連発で昔を懐かしんでみましたが、こちらの尾去沢鉱山は歴史が長い!なんと伝承によれば開山が708年!って奈良時代(710-794)より前じゃないですか!採掘のメインは銅だったようで、ここで採掘された銅は奈良の大仏にも使われたという話です。また鉱山特有の事情(鉱山独自の決まりを守る限り個人の過去を詮索しない)により、隠れキリシタンの隠れ家となっていた時期もあるようで‥。



ずんずんと奥へ進んでいきます。見学できる坑道は1.7kmありますから見ごたえは十分なのですが、ほかのお客さんの姿が全く見あたらない‥エリアごとに説明放送があるので無音ではないのですが、おしんこどんいわく「この状態で1人で入ったらちょっと怖いかも」ということでした。たぶんこの時この坑道内にはわれわれしかいなかったんじゃないか?

ちなみに千年以上の歴史がある鉱山だったこともあり、特に近代以降技術の進歩でどんどん掘り進めたことから、総採掘量は3,000万t、坑道延長は800kmにも及ぶというとてつもない鉱山だったというわけです。



縦に割れ目が延びているのが近代採掘の特徴で、鉱脈を縦に掘り進み、掘った鉱石を足場としてさらに上部を掘るというすごいやり方(シュリンケージ採掘法)をしていたようです。そしてその数十m上部でも同じように掘り進む‥

ここ尾去沢の地盤が固く締まっていたからこその採掘法だったようで、かの東日本大震災時においても坑内落盤等の被害はゼロだったそうです(もっとも震源域からはそこそこの距離がありますが)。



しかし‥やっぱり「鉱夫」は相当にきつく危険な仕事だよなぁと実感。もちろん実入りも良かったんだろうけれど‥。

そんなわけで坑道を進んでいくうちに、Takemaの身体に何やら主張するものが‥。それは「う゛マズイ」というBIG1系の固形方面ではなく液体のほうではありましたが、その主張というか勢いは徐々に怒涛系パワーを増してきていたのであります。

坑道内に入ったときすでに「これは‥もしかしてもしかするかもしれん、その場合は1.7kmの全坑道ではなくショートカットも選択肢かな」と思っていたわけなのですが‥。





こ、これはありがたかったぁ!‥でも皆さん、入坑前にお手洗いは済ませておきましょうね、このトイレはあくまで緊急用です!(笑)。



さらに進んでいくと、坑内神社がありましたのでもちろん手を合わせました。というか、たぶん坑夫の皆さんにとっては絶対的な「頼るべき存在」だったと思います。そこからさらに進んでいくと‥



日本酒やワインほかの熟成セラーがありました。あとで聞いたところによると「料金を払えば誰でも、どんなお酒でも」保管してもらえるのだとか。ただ光もあんまりよくはないんだという話を聞いたこともありますが‥。太陽光でなければ特に問題はないのでしょうか?



で、このあたりからマネキン(動かない)が多く登場してくるわけですが‥



マネキンがひと昔、いやふた昔前の非東洋系外国人顔ばかりで、ここはどこ?感満載です(笑)。



このあたりは近代坑なのでバッテリーカーとかの展示もあります。ところでJRでも2017からバッテリーベースの旅客列車運用が始まりましたよね(男鹿線とか烏山線とか)。さすがに長距離運用はないでしょうが、今後はどんどん増えてくるのかな?

ちなみに坑内鉄道には多くの分岐があり、それぞれの支線が闇の中へと消えていきます(右上画像マウスオン)。と同時に、いろんな場所にいろんな標語というか戒めがありました(左上画像マウスオン)。掲示物そのものはもとより後付けでしょうが、操業当時も同じ記載はあった=結構みんな守っていなかったから問題だった、ということだったのでしょうか。

ノスタルジーというフィルターをかけちゃうとみんな映画「三丁目の夕日」みたいなイメージになっちゃいますが(とはいえ自分はかの映画を見ていないので想像です)、ここ尾去沢に限らず各鉱山の労働者氏は日々緊張にさらされていたのだろうなと思います。地下深く、しかもいつ何時何が起こるかわからない、それこそ照明が落ちるだけでも大変な状況となる場所なのですから。

なお訪問時には知らなかったことですが、現尾去沢鉱山見学の運営母体は何と「株式会社ゴールデン佐渡」。さ、佐渡金山ですか!しかし本家の佐渡もそれほど収益を上げているようには思えないし‥と思ったわけですが、そのまた親会社は何と「三菱マテリアル」なのでありました。上画像にも三菱マークを誇らしげに掲げたバッテリーカーが写っていますが、要は「かつて稼がせてもらったご恩返し」ということなのでしょうか。



尾去沢鉱山は立体的に採掘されており(深さ30mごとに水平採掘)、しかもそれが縦に15もの層をなしていたというので、約500mの高さ(あ、深さか)があったわけで、それゆえエレベーターによる鉱石搬出が行われていたようです。しかし、慣れからくる手順省略で云々ということもあったということなのでしょう。時代も違えば現場も違いますが、自分も他山の石として気をつけなければなと。それこそ車やバイクの運転一つにしても一瞬の油断が取り返しのつかない事故を招きます。ましてや仕事の場合は(以下自粛)。



鉱脈の関係なのか斜めに掘り進められたエリアもあり、またライトアップされていたエリアもありました。ちなみに足元はトロッコの線路を残しながらも完全にコンクリ舗装がなされており、車椅子でも見学が可能となっています。これはすごい。



最後の方にいきなり出てきたのが江戸時代の奉行所。江戸時代には金の採掘も行われていたそうで、その不法持ち出しを防ぐために奉行所が設置されていたのですが、何と当時実際に「その奉行所が坑道内にあった」そうなのですよ。

そしてまた、江戸時代の坑道は当然ながら手掘りで口径も小さく、「これ、手で掘ったんだよな、きつい姿勢で‥」と、ギックラーTakemaとしてはつくづくその時代に生まれなくて良かったなと実感した次第であります。



夢のエスカレーター?を上がれば右上画像のおみやげ館へと導かれる仕組みとなっております(笑)。お客はわれわれしかいなかったので、お茶をいただきながら店員さんの女性に伺ってみると、



とのことでした。くだんの見学なさる方ってマニアさんですよねぇ。お客が少ない時期を狙ってやってくるって、まさかねぇ暗いとこにライト持参で突入とかしていないことを祈ります。あ、自分は暗いと怖いのでじぇったいできません。



隣接する鉱山歴史館も見学に行きましたが、無人の施設で暖房も入っていないので館内は底冷えしておりました。ま、ここにお金をかけちゃうほど鹿角市に財政的余裕があるわけでもないでしょうからこれでいいのですが(どうせわれわれだけだったし)。



このあと再びタクシーを呼んで駅まで戻ってきました。駅蕎麦がありましたが残念、営業時間が終わっていましたっけ(まぁまだお腹は空いていませんでしたが)。ここからは再び花輪線で大館へと向かいます。花輪線沿線には湯瀬温泉、大滝温泉という温泉地があり、しかも駅から歩けるところに宿があるので立ち寄りたかったんですが、いかんせん花輪線の本数が少なくて今回は断念。実はどちらもまだ未湯なんで、GWを狙うか‥

列車はさらにガラガラで(右上画像マウスオン)、花輪線大丈夫なのかと心配になったりもしますがどうなのでしょう。もっとも行き止まりの盲腸線ではありませんから、周遊列車などを走らせたりもできそうですし夏はもっと観光客も多いことかと。そうそう、知らなかったんですが冬場のみ後生掛温泉への送迎バスがここ鹿角花輪から出ているんですね。これは来年以降使えそうな情報として覚えておこう(笑)。





あ、でも数駅先の十和田南駅で進行方向が変わるんですよね。てっきり「十和田湖方面に路線を延ばす」計画があったのだろうと思いこんでいましたが、考えてみたら十和田湖に線路を延ばしてどうする(笑)。そっちじゃなくて三戸方面へということだったんですね。いずれにせよ建設されれば難工事になったことでしょうし、開通後もさしたる旅客需要も期待できない赤字路線となったことでしょうが‥



そんなわけで行き止まりの十和田南駅へ。ここで列車交換ということでしたがわれわれの大館行きの方が先着ということですね。よかったホームの喫煙所でタバコが吸える(いじましい)。と、やがて列車到着の気配‥







十和田南から大館までは川と里山を眺めながらの鉄旅となります。あ、大館の宿に着いてから飲み始めるつもりだったのでこの区間での飲酒行動はありませんでした(いじましくない)。






そんなわけで本日の終着たる大館駅に到着です。そう、ハチ公はここ大館の秋田犬(あきたいぬ)なんですよね。



ホームにはハチ公神社なる宗教施設(笑)もありましたが、ご本尊の顔が隠れている下手くそ撮影画像。



おしんこどん大好き系の顔出し。駅コンコースには巨大きりたんぽ鍋オブジェが(右上画像マウスオン)。

さて駅からはこれまたタクシーで今宵の宿ふるさわ温泉光葉館へと向かいます。実はこの旅程で「どこに泊まるか」というのが一番の懸案でありました。前述の湯瀬温泉や大滝温泉はもちろん第一候補だったわけですが、いかんせん翌日の移動を考えると危険がいっぱい。朝早いのはいいとしても列車の大館着が遅れれば鷹ノ巣駅での秋田内陸線接続が絶望的になります。しかも冬の天気ゆえ直前まで判断は付かないとなれば‥ここはやっぱり大館市内泊が一番安心かと。

大館市内にもいくつか温泉があるのですが、うーむねーどうもねーというところもあり、やっぱりここかなというわけでやってきたのがこちらのお宿というわけです。実は2014GWにも宿泊しております(その時の様子はこちら)。



到着時にはやや暗くなっていたので外観画像はありません。というか2014と変化は全然なかったかな。ちなみに近隣の皆さんもどんどん押し寄せてきておりました(笑)。また予約時には「この日には学生団体さんが云々」ということでしたが、学生団体さんは規律正しく行動する(させられる)ので、お風呂なんどはそのタイミングを外せば全然OKというつもりだったのですが‥



さて夕ごはんなのですが、こちらはある意味居酒屋兼務?ということもあり、予約時に「夕ごはん代わりのオードブル云々」をオーダーしていたのです。そしてさらに!









そして左上画像が注文していた夕食代わりのオードブル。今宵はおつまみ豊富でやっほほーい!‥え?右上画像の手前に写っている揚げ物についての説明がないって?あ、えっとですね、これはですね‥われわれが普段からよく見るポピュラーな生きものなんですよー(謎笑)。もっとクセがあるかと思っていたら案外あっさりということでオプションで持ってきて下さいました(右上画像マウスオンで拡大)。当然ですが肉の色は黒くはないんですねー(苦笑)。

そんなわけでいろいろと美味しくいただきました。そうしたらお風呂‥なんですが、前回訪問時に勘違いしていたことが1つありまして、それは入浴時間のこと。「外来入浴は21:30まで、宿泊者は22:00まで」だと思いこんでいたのですが、実はそうではなくて「22:00以降はボイラーを止める?のと、湯の保温のため蓋をするのとでシャワーのお湯がぬるくなったりはするが入浴自体はいつでも可能(蓋を外して入っていい)」ということなんですね。というわけで行ってみましょー。



脱衣場には左上画像のような貼り紙が。うんうん、前回宿泊時、朝一番の湯では明らかに塩素臭がただよっていたことを思い出しました。でも今回は翌朝も含めて塩素臭は一切なしでよかったです。前回はGWという書き入れ時だったからしょうがなかったのかもしれません。

説明の通りお風呂には保温用の蓋がしてありましたが、入浴する湯口部分だけそれを外せばいいわけです。こちらの温泉は源泉温度が38.0度とややぬるめなのでわずかに加温してかけ流しているわけですが、ボイラーは完全に止めるわけではないようで、この時間(22:30ころ)でも湯口からの湯はしっかり熱めでした。

で、その湯口なのですがっ!





これは何気にインパクトがありましたね(笑)。実はこの時間より前にも一度入浴していたのですが、先客さんありというわけでこの絵を撮れなかったのです。だから外来終了後のこの時間に出直してきたというわけで。



間違いなく公式には「ライオン口」であることが明らかなのですが‥

2014GW訪問時にはこの湯花キャッチャーはなくライオンさんが勇ましく湯を吐いていましたから(左上画像マウスオン。ちょっと画質が悪いですがご容赦を)、このところ源泉に含まれる湯花とか砂系が増えてきたということなのでしょうか?



ちなみにこちらのお宿、なかなかどうしてイベント好きのようで、前回も「リニューアル記念で食堂居酒屋期間限定オープン!」というのをやっていましたし、なぜか「今月(2月)は入浴料割引が多いのでお得!通常350円が250円!」という限定企画もやっておりました。地方の温泉宿や浴場が利用者の減少や跡継ぎの問題等々で加速度的に(と思えるほど)姿を消していく中、ここふるさわ温泉のようにやる気をみせている施設があると嬉しくなります。



なお翌朝疑似フライング入浴(5:35なれどシャワーのお湯はともかく入浴は問題なし)に行ってみると、ゾウさんのお鼻がぐんと短くお馬さん並に縮んでいました。清掃時に取り替えたのでしょうが、完全透明に見えるこちらの湯も、結構湯花ほかがあるんだなと。ちなみに湯上がりにロビーで寛いでいたら「正式フライング入浴」の外来客さんがカウンターにお金を置いて入っていかれましたよ(笑)。



10分前のタイミングでフライングってまだ可愛いレベルですが。あ、アイスのケース上になぜ木槌が?(これは謎)。

さてそんなわけで2日目も楽しんじゃいましょう!

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